安全装置が作動し、ドアが閉まる。
優斗!
安全装置が作動し、ドアが閉まる。
こんな状況で勝手に行動するのはやめてほしいな。
信也は 操縦桿を制御し、なんとか機体の体勢を保っている。
でも、この状況では仕方のないことね。
この状況を打開しないことには、依頼遂行も困難になるわけだし……。
瑞希が俺に向かって叫んでいる。しかし、その声もすぐに風にかき消された。
俺の体は激しい風に煽られ、上下左右ランダムに押し流される。
くっ……!
俺は自信の体を必死で制御して、先に飛び出した希を探す。
どこだ! どこにいる!
俺は、目を凝らして霧のかかる空中を見回した。
見つけた!
俺は、激しい風と霧のかかる空を一気に降下し、希に追いついた。
場所はわかったのか?
うん。ひとつはこの真下。
もう一つは?
俺が聞くと、希は右手で上空を指した。
わかった。俺が何とかする。
状況が状況だから、何があるかわからない、周囲には警戒しておけよ。
うん。ユウも気をつけてね。
俺は飛行魔法を展開し、一気に上昇した
どこだ。
俺は、上昇しながら辺りを見渡す。
すると、俺たちが乗っていた機体の上に青く輝くものが見えた。
あれか。
俺はデバイスを簡易形態で起動し、魔力を溜める。
一の型、炎斬剣!
刀身から放たれた斬撃が、目の覚めるような明るい炎を放ち、重力制御装置を目掛けて一直線に進んでいく。
機体の上空で、結晶が割れたかのように、キラキラと舞い散り、重力制御装置が粉々になって落ちていく。
下を見ると、希も制御装置を壊すことに成功したようで、一瞬だけ青く輝いた。
これで、揺れは治まるはず。
後は、信也に拾ってもらうだけかな。
この後、俺は希と合流し、空にいる瑞希達に拾ってもらった。
勝手に行動をされると困るのだけれど。
スワロウに戻った俺と希は、瑞希に怒られている。
なあ、今回は緊急事態だったってことで許してくれよ。
そ、そう。 緊急事態だから仕方がないってことで……。
いいえ、後で罰は考るわ。
二人とも、今回の依頼に関しては勝手な行動は認めないから。
そのつもりで。
わかった。
は、はい……。
俺と希は、こっ酷く絞られた。
そろそろ目的地だ。座席に座っとけよ。
信也は、そう言うと、スワロウを大きく傾かせ、降下をはじめる。
信也は安定した魔力供給に関しては優秀であるからスワロウの操縦者に任命されただけであって、操縦が上手いという訳ではない。
つまり、離着陸が素人同然なのである。
ちょっと、もう少し着陸の練習するとかできないの?
しょうがないだろ。
一応、スワロウの操縦は普通の飛行機の操縦より難しいらしいし。
むしろ、ここまでできる俺を褒めてほしいわ。
信也の荒っぽい操縦の中、俺たちは灰の街を管理・研究している中心管理司令都市へと降下した。