屋敷の中は、豪華の一言。高い天井一面には、天使の絵画が描かれ、煌びやかなシャンデリアが吊るされている。ベインスニク産の高級木材・バヘジを使用したテーブルは、細部にまで装飾が施され、同じ質感の椅子は、どんな椅子よりも座り心地が良かった。
屋敷の中は、豪華の一言。高い天井一面には、天使の絵画が描かれ、煌びやかなシャンデリアが吊るされている。ベインスニク産の高級木材・バヘジを使用したテーブルは、細部にまで装飾が施され、同じ質感の椅子は、どんな椅子よりも座り心地が良かった。
はぁわわわわわわ。
すすす、すご~いぃぃぃぃ。
凄い部屋っすねぇ。
すぐにディナーを運ばせましょう。
主人が手を叩くと、次々と皿が運ばれてきた。先程の召し使いも笑顔で、料理の説明をしてくれた。空腹に流し込まれる料理達は、ハルとメナを充分過ぎる程に満足させた。
こんな美味いもん食ったのは
生まれて初めてっすよ。
ほんと、すっごく美味しかったよぉ。
ついついお腹一杯まで食べちゃった。
喜んで頂けて幸いです。
マダム・グリーンも
嬉々としております。
で、二人はどの辺に住んでるんだ?
一緒に食事をしていた屋敷の息子はリュウといい、話題を変えて質問してきた。
生まれはベインスニクではなくて
二人とも城塞都市ディープスに
向かっている途上なんです。
おお、どのような御用で。
ハルは主人とリュウに今迄の経緯を話した。つもりだったが、豪邸の中で品の高い者を相手に浮足立ったのか、支離滅裂で段々と何を言ってるのか分からなくなってきた。「マンナリしてきたっすから、続きは、メナよろしくっす」と、訳の分からない言葉で話を振って、メナに続きを話してもらった。
それでは先立つ物も必要でしょう。マダムの御礼も兼ねて、僅かながらでも援助させて下さい。
主人の言葉が終わるや否や、先ほどの召し使いが質の高そうな布地に包まれた物を運んできて、テーブルに置いた。
食事の後は
これで口を拭けって事っすか?
布地を掴み上げたハルは、ズッシリとした重みに疑問を抱き、口をポカンとさせた。金持ちの文化なのかと勘違いしているのもそうだが、前後の話の流れも分かっていないアホさ加減。底抜けのアホさに、メナも驚くしかなかった。
えっ?
苦笑いのメナの視界に光が反射する。眩しくて片目を閉じたメナだったが、布地の隙間に見えた物を認識すると、両目を大きく見開かせた。
き、金貨!? しかも……す、凄い量!
冒険者は命掛けの仕事と聞きます。
資金でその危険を減らせるなら
力添えさせて下さい。
いや、流石にこれだけの
大金貰えないわ。
そうお気になさらずとも構いません。
お気持ちだけ頂いておきます。
私共にはこれぐらいの事しか
出来ぬのです。
ハルからもお願い、何とか言って。
ハルは正直に言おうと決めた。美味い食事をご馳走になった後だったが、偶然が重なり勘違いさせてしまった事を。
正直に言うと勘違いなんす。
本当は、たまたま屋敷の前で
大声を聞いたので、
騒ぎを見ていただけなんすよ。
カエルも偶然拾ってきたっす。
調子に乗って食事までたいらげた事を、責められる覚悟でハルは言った。
まさか嘘までついて受け取らないとは、何と奥ゆかしい。欲のない方達だ。それならせめて今晩は我が屋敷に泊まっていって下さい。
また主人を勘違いさせてしまったようだ。二人はその好意に甘えるしかなかった。
部屋に通される時、メナは感じた。あののんびりとした屋敷の息子リュウ、彼には偶然だったと見抜かれている。そんな風に思える笑みを彼は漏らしていた。
番外編~ぴょ〇吉との出会い~
能力はあるが不運続きの行商人がいた。今日も冴えない結果になった売上をポケットに入れ、立ち寄った街の食堂に入る。なるべく安価な料理を頼む。料理を待つ間、今後の商売の方向性を思案する。そんな時、テーブルから見える厨房の光景に、行商人は目を奪われた。
今、まさに包丁を入れられそうな蛙が、視線を送ってきているように見えたのだ。『助けてくれ!』そう言っているように聞こえた行商人は、今の自分と蛙を重ねてしまう。「その蛙は私の注文した蛙ですか?」行商人はコックにそう尋ねた。「アンタの一つ前に受けた客の料理さ」
皮肉にも今夜はいつもより注文に迷ってしまった。その間に隣の客が何かを注文した事を思い出した。しかも同じ蛙を使った料理。自分の方が先なら止めてくれと言えたのだが、順番は順番。あの命乞いをしてそうな蛙は、隣の客の蛙なのだ。「もう料理をしたいんだがいいかね?」とコックは言う。
「待て待て待ってくれ」そう慌てて言った行商人。その様子を見て、隣の客がふっかけてきた。「あの蛙が欲しいのかい?」話が早いと思った行商人は、大きく首を縦に振った。「なら100ガロンで売ってやるよ」ちなみにその蛙を使った料理は25ガロンだ。行商人はコックに焦らされる中、葛藤した。
自分の懐事情は余裕があるどころか、一切の無駄も許されない。だが、どうしても蛙を助けてやりたい。何の根拠もないが、あの蛙を助ける事が自分の将来を開ける事だと妙な確信を持っていたからだ。悩み抜いた末に行商人は大人しく自分の料理を待つ事にした。そう、蛙を助ける事を諦めたのだ。
ガビーンΣ( ̄Д ̄;)
拾ったんかーい!!
こんなにすぐに番外編を書いてくれるとはwありがとうございます♪
運命的な出会いかと思いましたがハル達と同じや(*゚∀゚*)ムッハー