ーー10年前・トワイライト王城

姫はどこだ!!!

賊など後でいい!!姫を探せぇぇッ!!!

…………よし、行ったな。

凄いわ…私がいなくなっただけで、いつもは静かな城が、こんなに騒がしくなるなんて…

君は、次期トワイライト女王だからね。しょうがないさ……さ、こっちだよ

ええ……ああ、なんだかワクワクしてきたわ!

まったく…困った姫様だなぁ…

ッ!?うわぁッ!?

きゃっ!!ウィル!?

姫様!!いたぞ、こっちだ!!

ッ…!ネプテューン、こっち!!

えっ…ま、待ってそっちは…!!

大丈夫、僕を信じて!!

ウィル……

わ、分かったわ…

ネプテューン……!

よし、いくよ!!

え、ええ…!!

なっ…!?お、おい、やめろ!!

きゃああああああああああああ!!!!

ーートワイライト・時計塔前

アルマ

…で、何で僕が、君と指導するなんてことになっちゃったのかな?

ネプト

いいじゃん〜!お前が強くて、さらに指導も上手いって事はみんな知ってるんだぜ?

シルフ

ちょっと腑に落ちないところはあるけど…でも、事実アルマの先頭指南は的確だからな。ちょっくら指導してやってくれよ

アルト

俺からも改めて頼むよ、アルマ…って、俺はついでだけどな

エルク

よろしくお願いします!アルマさん!!

アルマ

う……い、言っとくけど、僕はシューターだから…その、剣の扱いはそこまでうまくないからね!

ルナ

そんなに謙遜しなくてもいいのに…

シルフ

なー?まあ、そういうところがアルマの可愛いところなんだけどな!

アルマ

シルフは黙ってて!!

どうしてこんな事になっているのか。説明すると長くなるが…でも、話さなきゃわからないよな。よし。

そう、これは昨日…ネプトと合流してからのことーー。

〜昨夜〜

アルト

ね、ネプト…本当にここでいいの…?

ネプト

ん?ああ。二人部屋だけどな!

ルナ

すごい部屋よね…いくらしたのよ…?

ネプト

んー…ザッと、一泊銀貨7枚位か?

アルマ

銀貨7枚!?

シルフ

おいおい…本当に大丈夫かよ…?
どこにそんな金あったんだ…

アルト

銀貨7枚っていうと…?

ルナ

えーっと…金貨1枚が銀貨10枚…って、言えばわかるかしら?

アルト

な、なにそれ高い!?

豪華なホテルに豪華な客室…オマケに豪華な食事まで…いくら根回しがうまいネプトでも、流石に今回はやばいと思ってしまう…
ネプトは部屋に備えてあったクッキーをパキリと齧り、「その代わりなー」と、話し始めた。

ネプト

ある人の戦闘指南をすることになった。

アルマ

は、はぁ…?

ルナ

戦闘指南って…何でまた?

シルフ

…もしかして、階級試験に向けて、とか?

ネプト

ご名答!そのとおりだ。

アルト

かいきゅうしけん?なんだそりゃ?

ネプト

ありゃ、知らねえのか?

ネプト

階級試験ってのは、自分のジョブクラスを定める試験のことだ。年に数回、ここみたいな大きな国で開催されて、試験に合格すれば、晴れてそのジョブクラスを名乗ることができるようになるんだ!

アルト

う、うーん…つまり、資格みたいなものが取れるってこと?

ルナ

簡単に言うとそういう事になるかしらね…ちなみに、私のジョブクラスは『魔術師』の『ヒーラー』

アルマ

僕は『戦士』の『シューター』

ネプト

俺は『魔戦士』の『トリックスター』で、

シルフ

俺は『魔戦士』の『マジナイト』

ジョブを名乗るにも試験が必要なのか…ネプトが淹れてくれた紅茶を一口に含み、俺は再び首をかしげた。いや、不味かったわけじゃない。むしろ美味い。

アルト

ヒーラーとかマジナイトなら聞いたことあったけど…その前の戦士とか魔術師って?

シルフ

ジョブクラスの大まかな区分わけの事だよ。口で説明するのはちょっと難しいんだけど…

ネプト

ま、詳しくはこの図を見てくれ!

アルマ

何このきったない表

アルト

これが作者のぜんりょくだったんだ…

ルナ

マwwwwwwジャwwwwwwwンwwwwwww

シルフ

酷い脱字を見たwwwwww

ネプト

許してやれよwww正しくは『マジシャン』だなwww

ルナ

改めて考えると、身近に魔戦士が二人もいるって言うのが物凄いことなのよね…

アルト

魔戦士ってそんなにスゴイの?

シルフ

スゴイ…というか、なんというか…ねえ?

ネプト

数はすくねえな。特にマジナイトは。

アルマ

全世界に5人のみ、だもんね!シルフはその1人なんだよ!!

ルナ

そんなに少なかったっけ!?

アルト

へー!スゴイじゃん、シルフ!!

シルフ

や、やめろよむず痒いから……
あれは実力ってよりヤケで…

シルフ

そ、そうだ!アルマの指導が良かったんだ!!

アルマ

へあ!?僕の!?

ネプト

ほーん?というと??

シルフ

俺、もともと戦闘とか得意じゃなかったんだけど…アルマが1からいろいろ教えてくれてさ。

アルマ

そ、それはシルフの飲み込みが早かったから…僕、かなり指導下手だったし…

ネプト

それでもシルフはマジナイトとして完成している…と。

ネプト

よーし、アルマ!お前も指導付き合え!

ネプトがカラカラと笑いながらいうと、アルマは手に持っていたマグカップを粉砕するのでは?という気迫で、彼のことを思いっきり睨んだ。

アルマ

は?なんで僕が…

ネプト

だから、この宿を利用するにあたってな?ある人の戦闘指南を……

アルマ

いやそれは聞いたけど…なんで僕までそれに巻き込まれなきゃいけないのさ?

ネプト

目には目を、歯には歯を、恩には恩を、だ。お礼くらいきっちりやらないと、だろ?

アルマ

ええ…でも、僕は…

ルナ

いいんじゃないかしら?お礼ってことなら、私たちもなにかしなきゃだしね!

ネプト

そうそう、ルナの言うとおり♪
この際だから、ついでにアルトも戦えるようになれよ?

アルト

へ!?俺も!?

ルナ

あら、それは良いかもね!
せっかく長からもらったナイフもあるんだし♪

シルフ

アルトはいいと思うけどなぁ・・・俺たちがいるし。

ネプト

お前たちに頼ってばっかってのも、あんましよろしくないだろ?

ネプト

いつまでも一緒にいられるわけじゃねえんだし?

シルフ

それは・・・そうだけど・・・

アルマ

まあでも、心配ではあるね・・・また前みたいにはぐれたりしたら・・・

ネプト

だろ?あわよくば、階級試験にも挑んでもらおうぜ!

思わず紅茶を吹き出しそうになった。

アルト

そ、そんなの無理ーー

アルマ

ああ、それは面白いかもね!

ルナ

アルト~、頑張ってね~♪

シルフ

やるならしっかりやれよー

アルト

うええええええ!?

アルマ

ところで、戦闘指南って誰にすれば良いの?
人間・・・だよね?

ネプト

ああ。正真正銘、人間だぜ。

ネプト

しかもこの国の王子ときた!こりゃ腕が鳴るな!!

おのおの動かしていた手を止める・・・今なんて?

ルナ

あ、あはは・・・やだわあたしったら、聞き逃しちゃったみたい

アルマ

あ、あいにく僕も・・・王子とか聞き間違えちゃったよ・・・

アルト

あ、やっぱ聞き違い?だ、だよなー。王子と戦闘指南受けるとか、なんてラノベだよ・・・

シルフ

ネプト、もう一回、はっきり言ってやってくれ。こいつらは極度の難聴らしい。

ネプト

んあ?しょーがねーなー・・・

ネプト

戦闘指南する相手は、この国の王子ーーエリック・トワイライトだ。ここを提供してくれたのもしかり・・・な?

そうして今・・・現在に至る。

エルク

急なお願いを聞いてくださり、ありがとうございます!

アルマ

え!?あ、い、いやいや・・・そ、その、滅相もないです・・・!

ネプト

全く、そんなに緊張しちゃ、教えられることも教えられないぜ?

ネプト

な、エルク?

エルク

ねー、団長さん!!

エルク

僕はまだ、見ての通り未熟です。だから、そんなに気を張らないでください、アルマさん!

アルマ

う、・・・はい・・・

アルト

王子って言うから、ちょっと緊張してたけど・・・気さくな人なんだな。

ネプト

おう、確かに最近の王族には類を見ない気さくさだな。でもま、やりやすいからいい!!

アルト

そ、そうだね・・・

ネプトは無礼すぎないか・・・?
時計塔の麓では、ルナとシルフが俺たちの様子を見ていた。時たま二人で談笑しているが、シルフの視線はずっとアルマから離れない・・・ある意味すごいなアレ。

ネプト

さてと、与太話はこの辺りにして・・・始めますか?

アルマ

そうだね・・・さあ、二人とも、覚悟はいい?

エルク

もちろんです!!

アルト

おう!

それから俺たちは、午前中ほぼすべての時間を稽古に費やした・・・エリック王子の方は、元がしっかりしていたためか目に見えて上達していったが、俺はそう簡単にはいきそうになかった・・・。
ほとんど何も習得できないまま、稽古は終了した。

アルト

ううう・・・疲れたぁ・・・

ルナ

お疲れさま、みんな!

シルフ

ほら、これ飲めよ。さっきルナと買いに行ったんだ。

アルト

ありがとう!!喉渇いてたんだ・・・

エルク

結構辛かったですね・・・やっぱりまだまだです・・・

ネプト

いやー、久々にいい汗かいたぜ!な、アルマ!!

アルマ

そうだね、たまにはこういうのもいいかも知んない。

ルナ

それにしても、エリック王子すごいわね!
あれだけの時間で、あんなことまでできるようになるなんて・・・!

エルク

えへへ、ありがとうございます・・・

エルク

あ、そうだ・・・あの、僕のことは『エルク』と呼んでください。王子って呼ばれるの、あまり好きじゃなくて・・・

ルナ

あら、そうなの?
それじゃあ、そう呼ばせてもらうわね!

ネプト

とりあえず、アルトが限界みたいだから今日はここまでだが・・・明日はどうする?やるか?

エルク

はい!
ご迷惑がかからなければ・・・

ネプト

わかった。んじゃ、明日も同じ時間で・・・いいか、アルト、アルマ?

アルト

それでいいよ

アルマ

うん、いいよ!

明日の約束をし、エリック王子改めエルクは去って行った・・・元気だなぁ・・・

ネプト

そんじゃ、俺たちは祭りまわりますかねー

ルナ

そうね!昨日見きれなかったもの!!

シルフ

そうだな。さっきルナとちょっと覗いたけど、それだけでも見たことない場所あったし・・・

ルナ

ねーねー、早く行きましょう!!

アルマ

あー、ごめん、ちょっとシャワー浴びてきていいかな?汗かいたから、体中べたべたしてて・・・

アルト

あー、そうだな・・・俺も浴びてきたい・・・

ルナ

それは死活問題ね!!ホテルに戻りましょう!!

シルフ

そうだな・・・ネプトは?

ネプト

みんな戻るんなら、俺も浴びてくるわ。

こうして、俺たちはホテルに戻り、ルナとシルフとロビーで待っててもらい、稽古をしていた三人は各々の部屋に戻った。
シャワーを浴びてすっきりし、合流するために、まず俺は隣のネプトの部屋に向かったのだが・・・そこで、事件は起こった・・・。

アルト

ネプトー?もう出てるか-?

アルト

まだ入ってんのかな・・・?

アルト

あれ、開いてる!?全く、不用心だなぁ・・・

ここで、俺はちょっとした好奇心に駆られてしまった。思えば、俺達の事は随分教えたはずだが、ネプとの事はほとんど何も知らない…アルバスのときもさんざんやられたし……

アルト

ちょっと覗いちゃお…

俺は極力音を立てないようにドアを開け…部屋の中に体を滑り込ませた。
よし、順調順調…あとはネプトの手荷物を…

ふはー、さっぱりさっぱり~♪

アルト

うわ!出てきた!?
あ、いやでも鍵あいてたよーって注意する流れに持ち込めば何とか…!

バスルームから出てくる瞬間を狙い、俺は声をかけようとした…が、そこから現れたのは……

ッ!!???!?

アルト

あ、あれ…!?

バスタオルを巻き付けただけの格好をした、女性だった…

アルト

うわあああああああごめんなさあああああああい!!!!!!!!

部屋間違えた…!!??
俺は大急ぎで部屋から飛び出し、自分の部屋に戻った…それからアルマとネプト二人が迎えに来るまで、ベッドの上で毛布をかぶって蹲っていた……。

第六楽章 ネプト、還り咲く 2

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