人間関係と言うものは、すぐに壊れてしまうほどに脆く、貧弱なものだが、人間はそんな持っていて疲れる物を一生懸命守ろうとする。






なぜだろう。僕には一切わからない。






今僕の横にいる女子達は、いわゆる“イツメン”と呼ばれていて、いつもクラスをうるさくする発信源なのだが、今日の昼休みは黒々とした怪しい霧を漂わせていた。

ねえ、なんで昨日うちのラインを既読無視したの? ダチなら普通やらなくない?

それは…

え~、マジそれはないわ~

最低~」

三人の女子達が、一人の女子を徹底的に叩き潰している光景は、傍観者からしてみたらあまり楽しい物ではない。





むしろ、食事中にやられていい迷惑だ。





購買で買ってきた焼きそばパンが不味くなる。





だが、やっている側は凄く楽しそうに笑みまで浮かべていらっしゃる。
 




やられている方は今にも泣きそうだ。

ねえ? 泣けば許されるとでも思ってるの? そんな事ありえないかんね?

てか、あんた最近調子乗り過ぎじゃね?

あ、うちもそれ思ったわ~

最近のギャル語がクラス中に響き渡る。




なんだよ、「かんね」とか「じゃね」とか、ちゃんと日本語を話して頂きたいものですね。

そんな事‥

涙で潤んだ両目をセーターの袖で擦り、反論を試みた物の、結局何も言わずに下を向いた。




僕はそこまで見て、教室を出た。




だって、せっかくの昼飯を台無しにされたら、たまったものじゃない。




あと、この話の結末も、正直どうでもよかった。




だって、僕には全く関係がないのだから。




僕に無害なら、いつどこで喧嘩をしても、いじめられても構わない。




頼むから、僕の邪魔をしないでくれ。




焼きそばパンの残りを、コーヒー牛乳で流し込みながら、今さっき来た中庭の花壇に埋められているチューリップを眺めながら頂いた。




ごちそうさまでした。

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