一人暮らしの朝は大変だ。





部屋中に鳴り響くスマートフォンのアラーム機能を、まだ起きていない頭を使い、指先を操作して消す。



この時に上体を起こしておかないと、二度寝してしまう心配があるので、アラームを消しながら体を起こすという一連の動作は、もう習慣化している。




ベットから出て、洗面所に向かい顔を洗って歯を磨く。この時に目がしっかりと開くようになるので、ここも一応一連の動作の一つだ。





この時に、不思議に思う人もいるかもしれない。





なぜ、朝ご飯を食べる前に歯を磨くのか。





その答えは簡単だ。





僕は基本、朝ご飯を食べないからだ。





「不健康だ」と言う人もいるだろう。
だが、僕は朝ご飯を食べない方が健康でいられる。





朝ご飯を食べてから一時間後、僕は必ず気分を悪くする。その時に、食べ物を体外にまき散らすアベレージは、五割を軽く超えている。





つまり、朝ご飯を食べない方が健康でいられると言える。





だが、朝ご飯を食べないと、勿論お腹は空いてしまう。





なので、一時間目が始まる前に必ず購買部でパンを買い、お腹の中に入れるようにしている。





すると不思議な事に、昼休みのチャイムが鳴ると同時にお腹の音も鳴りだす。完璧ですね。





そんな理由で朝ご飯を抜く僕が次にすることは、部屋着から制服への着替えだ。





これは、慣れれば三分以内に終わる。





ここからが大変だ。
まず、トイレ掃除をする。これは、一日一回毎朝やっている。





次に、お風呂掃除。これも、朝の恒例行事だ。





最後にゴミの分別。これは、その日に出すゴミを出すために整理を行っているため、ゴミの日以外はお風呂掃除までやれば終了である。

これらを全て終えたあたりで、登校時間がやってくる。





歩いて五分ほどの所に住んでいるため、凄く余裕をもって登校をする事ができるし、忘れ物をしても取りに帰る事もできる。





学校に着いてから、帰るまで、僕は基本誰とも会話をしない。





スマホをいじったり、本を読んだり、男子の喚き声を聞いたり、女子の内緒話を寝てるフリをしてこっそり聞いたり、友達と話す以外にもやれることは山ほどある。





学校が終わったら、クラスの誰よりも早く出て、誰よりも早く家に着く。





制服から部屋着に着替え、部屋の掃除や夕飯の準備など色々な事をやる。慣れれば、こんな事は全然辛くない。





夕飯を食べて、宿題をやり、これでようやく一日が終わる。





次の日も、また次の日も、同じことを何度も何度も繰り返す。





辛くないのかって? いや、むしろ楽しすぎる。





一人暮らしは、自分が想像していた以上に家事は慣れれば楽だし、一人の時間もたくさんできる。





こんな夢の様な時間が、永遠に続けばいいのに…。

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