魚喃 アト

さぁてと、今回も「第二十夜」と同じように
短篇の謎を出させてもらうぜ!

来栖 禅

ちなみに、本日の謎は
どういった内容でしょうか?

魚喃 アト

へへっ、聞いて驚くなよ?

今回の謎は、魔物と戦う勇者が活躍する
とびっきりクールでファンタジーなやつさ。

来栖 禅

なるほど、
ヒロイックファンタジーで御座いますね。
では、剣と魔法の世界に
解き手の皆様をお連れしましょうか?

魚喃 アト

ああ、タイトルは「白馬の勇者シカヤマ」だ。

誰だって一度は憧れたことがある、
勇者の活躍にご期待あれだ。


第二十一夜「白馬の勇者シカヤマ」

白樺林が蒼空に向かって堂々とそびえる、
自然豊かな高原。
勇者であるボクは愛馬アロー号に跨り、
ホブゴブリンの巣を目指していた。

『はいよー! アロー号! 悪しき妖精を、
オリハルコンの矢で貫き、
一匹残らず成敗してくれようぞ!』

美しい毛並みをしたアロー号が
ボクの雄叫びに応じるように、
勇ましくいななく。

瞬間――目に刺さるかと思うほどの、
強烈な紅い閃光が周囲を照らし、
巨大な魔獣達がボクを取り囲んだ。

『ホブゴブリンに従う魔獣か!
だが、勇者は決して怯まぬ!』

黒毛と白毛が入り混じる不気味な魔獣が、
ボクを威嚇するように叫ぶ。
耳をつんざくような声が轟き、
紅い目がさらにギラつく。


と――その刹那。
ボクは魔獣を繰る
ホブゴブリンの姿を見つけた。

『イサナリマトャシンテジノコソ』

『醜い妖精め! これでも喰らえ!』
ボクはオリハルコンの矢を放ち、
ホブゴブリンを一撃のもとに倒した。

『ウュチウソウトヲウドイカウュシウコ
 ガコトオタッモヲンガウボ』
『ヲカョキウポッハ』

『さあ、ボクはここだ! かかってこい!』
魔獣を操るホブゴブリンだけでなく
白樺林の向こうにも醜い魔物達の姿がある。

だが、すべて倒してやる!
勇者のボクが平和を取り戻してみせるぞ!


来栖 禅

幼い頃、勇者に憧れたことがありましたが、
どうも私は、勇者向きではないということに
最近気づきました。

魚喃 アト

まぁ……禅の場合は、
勇者っつーか、魔法使いとか
正体不明の謎キャラって感じだもんな。

来栖 禅

ええ、もし……私がファンタジーの世界に
行ったとすれば、
その役割は、勇者を導く
謎の男といったところでしょうか?

魚喃 アト

お前に導かれた勇者は、
ぜったいバッドエンドに
辿り着くだろーな……。

来栖 禅

ふふっ。私に協力すれば、
世界の半分をアナタに差し上げましょう。

魚喃 アト

お前……倒したら、第二形態とか
第三形態になるタイプだろ?

第二十一夜「白馬の勇者シカヤマ」

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