結局あたしは、あのまま悠美のグループに仮住まいをしている。

居心地がいいってわけではないのだけれど、まあ、居心地が悪いわけでもないし。


基本は千裕たちと一緒だけど、女子で動かなきゃいけない時とかはお邪魔させてもらっている。

女子グループもだいたい出来上がっていて、そろそろグループ確定しそうだ。

あたしが、このグループにいるのはちょっと考えものだけどさ。


だって、テンションについていけない。

なんとなく気がついていたけど、人種が違う。

けどいま一人になると卒業まで一人。



それはちょっと、やだわー。

あのー

絢香

なんでしょう?

お昼休みの時間、トイレに席を立った時に女の子に声をかけられた。

なんかやたらめったら眼球のでかい子だった。

序列役員なんですけど、お話よろしい?

絢香

ああ、役員さんか。
ごめんなさい。
ちょっとトイレ

行きながらでいいんで

それならばと一緒に歩きだす。

先に口を開いたのはあたしだった。

絢香

それならどうぞー。
ねぇねぇ、それカラコン?

は?

絢香

目がクリクリしてて可愛いから、どこのカラコンかなって

嫌だなー、これ自前ですよー

絢香

うそー。
じゃあ、アイライン何使ってるのー

素材の良さでございます

絢香

素材って、自分でいうー?!

いや、ホントホント。
これ全部すっぴん

役員が先生に目をつけられるわけにはいかないでしょ!

絢香

たしかにそうだわ

トイレの目の前に来た。

さっさと用事を済ませてしまおう。

絢香

ちょっと行ってくる。
待っててねー

トイレの個室で思う。


あの序列役員さん、面白いな。ノリがいいし、可愛いし。……可愛いし。

なんとなくルンルン気分で手を洗ってお外に出る。


すっきりしたしねー。

絢香

お待たせー

いえいえー。
さっそくいい?

絢香

はい、どうぞー

なんか目星つけてる子いる?

絢香

えー?
まだ1週間も経ってないのにー?

とりあえず、今の段階で

絢香

そうだなぁ。
今日まで接触した中で行くと、他薦は中学序列で入れるかな

同じ女子の悠美は?

絢香

それが、まだわかんないのよね

上位に推薦していいかどうか?

絢香

それもあるけど、上位ってさ、結局秩序を守んなきゃでしょ?

それができるか不安?

絢香

そうね。
というか、あたしだって今年は上位に入れるか不安なんだもの

え?
じゃあ、今のところの振り分け聞いてみる?

絢香

教えてくれるの?

宿題見せてくれたらねー

絢香

次の英語?

やってくるの忘れてて

絢香

もー、教えてあげるわよ。
間に合わなくなったら写していいから

やった

絢香

そんで?
単純に今の自分の順位に興味があるんだけど

今のところ女子ではダントツっぽいけど、やっぱり1位にはたどり着かないね

絢香

それは承知の上。
ってか、あれを追い越そうとは思わない

えー、いいじゃん。
やってみなよ

絢香

多分さ、能力的には同じなんだけどさ、やっぱりあれにはかなわない

カリスマ性?

絢香

それもあるけど。
単純に可愛い。
かっこいい。
ステキ

絢香

2番でもいいって思わせる。
マジ素敵

オッケイ。
わかった。
どうどう

絢香

そこまで興奮してないわよ

牧とのお話は思ったより楽しくて、このあと放課後まで牧を一緒に騒いでいた。

夜、悠美からメッセージが来た。

悠美

絢香ちゃんは、悠美のこと好き?
悠美は、絢香ちゃんのこと尊敬してるよ?
だからね、ホントはおんなじグループが良かったの。
でも、今は牧ちゃんと一緒にいるから、悠のこと嫌いになっちゃったのかなって思って。
ごめんね。キモいよね(つд⊂)

絢香

そんなことないよ!
でも、なんとなく、私が悠美のグループで浮いちゃってるから気になっちゃって。
悠美は高校で初めて声かけてくれた女の子だから、大切な友達だよ?

悠美

そっかぁ。
大切なお友達か!
嬉しい!
ありがとね

絢香

いえいえ!
じゃあ、もう遅いからまたあしたね

悠美

うん!おやすみー

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