ん………
あれ?私どうして……
気が付きましたか?
ザートさん……
まる2日眠ってましたよ。熱もとっても高かったし、ナルシス様なんて書類作業放り出して看病してましたから
本当に愛されてますね、クリエ様は
……うん
それと、クリエ様の持っていた宝石は、私がアスター様の元に持っていきました。純性宝石だそうですよ
……本当に?純性なの?
鑑定士の意見が信じられないならって、アスター様に怒られちゃいますよ
…………良かった
…………
クリエ
……ザートさん?
お願い、もう怪盗シャムロックになるのは止めて
ザート……姉
あなたが必死に純性宝石を探してきたのはよく知ってるわ。一度決めたら簡単には根を上げないことも
それこそ、クネート・グミ孤児院の頃からね
……うん。ザート姉が一番年上で、私達の面倒見てくれてた
だからクリエ、分かるでしょ?あなたの帰りを待ってるのはアスターやナルシス様だけじゃない。私も、あなたの家族なのよ
私は、ずっとあなたを妹同然にみてきた。そんな大事な人が血まみれで運ばれてきたら、どれだけ心配すると思う?
…………っ
……ごめんなさい、言い過ぎたわ。今はとにかくゆっくり休んで
また後でナルシス様も顔を出すと思うから、
…………
…………
…………
……まだ生きてたんだね
久しぶりの再会で最初に言う言葉がそれか?
まあね。涙ながらにハグするような間柄じゃないだろ?
それは気色悪いな
これでも喜んでるんだよ。無事でいてくれてるのをさ
なら、もう少し分かりやすく喜んでくれないか。お前の心の底を覗くのは私とて容易ではないのだ
名士と名高いナルシス卿が、しがない鑑定士の心も読めないって?
その通りだ。どうやら愛息子フィルターというものが作用してしまうらしくてな
……よくもまぁ、そんな寒いことを平然と言えるよね
どこが寒いというんだ
…………あの、お二人さん。小競り合いもその辺にしておきません?せっかくの紅茶が冷めてしまいますわ
あぁ、すまないな、ザート
……ねえ、ザート
何かしら?
いつ、籍を入れるの?
!!!?
……………
おや、無粋な質問だったかな?
……あなたって人は
家族は結婚できないということを知っているのか?
いや、そういうのいらないから。血縁者同士はできないってだけでしょ?
お互い、まんざらでもなさそうだしさ
ザートはメイド長であると同時に大事な家族だ。それ以上も以下もない
でも、ザートがメイド長になった理由を知らないわけじゃないんでしょ?
アスター!!
ザートが親愛以上の想いを抱いていること、とっくに知ってるくせに
えっ!?
…………
アンタにも色々あるだろうけどさ。貴族としての振舞い方とか、仮にも相手は貧困街の孤児院出身だとか
けどさ、自分の想いくらいは大事にしておいた方がいいと思うよ。ただでさえ姉さんが心配かけてるんだし
お前が私に説教とはな……
偉くなったもんだなって?やめてよ、もう子供じゃないんだからさ
さて、そっちの方は二人で片付けておいてもらって、今はザートは外してくれない?この人と話があるんだ
アスター・エーデルシュタインとしてね