【37】


























ボクはまたお座敷にいる。

王子様のおな~り~

……

……


ボクは。





やあ!
ボクが王子だよ!






……

ワタアメの嫁は嫌だと思ったけど


……王子って、これ!?

いかがでしょう! 王子!

……

あ、いいんじゃない?

……


お前、一瞬嫌な顔しただろ?

断れよ。
断ってくれよ。




でないと、

ではこの娘で決まりということでぇ

……

断る

……今、なんと?

断ると言った

ハニワは趣味じゃない

ああ!?


そうとも。
誰も言わないならボクが言ってやる。

どうせ逃げられないのなら
ボロクソ言ってやる!

だいたいなんなわけ?
自分の嫁くらい自分で探せばいいじゃん
部下に探させてさ、なんか美女を何人も断ったとかって、テメェ、自分のツラ見てモノ言えってんだよ

気に入ってないんだろ? さっき嫌~な顔したもん。
なら断れよ。
なんだよあからさまに面倒だからこれでいいや、みたいな空気出しやがって

だいたいボクはあんたらにつき合ってやるほど暇じゃないんだよ。
それを無理矢理連れて来てさ。

そんな男はこっちから願い下げなんだよ!

……

なんと失礼なっ!!

……


ああ、短い人生だったな。
きっとこの後は不敬罪とかで
投獄~処刑ルートが待ってるんだろうな。

でも最後の最後に言いたいこと言ってやった。
ざまあみろ。




ぷっ

面白ぇ

なにを言い出すのです王子!!

!?


王子?
王子ってあのハニワじゃないの?

あれー、バレちゃったよー?

何故!?
エスパーですかあなた!!

……今、自分でバラしてたじゃないの


どういうこと?

ま、そう言うことだ。
嫌がる女を無理に連れて来たって不幸にしかならないってことがわかっただろ?

おーじー。
元はと言えばあなたがいつまでたっても煮え切らないから

だから自分で探して来させたのにぃ

俺もそうやって急かされんのは嫌いなんだよ

さ、お前はもう用済みだ。帰りな


そう言うとネリーは
ボクの背中をとん、と叩いた。

小さく
「ありがとよ」って聞こえたのは

……

ボクがぶち壊すところまで
計算済だった……ってこと?


















































おーい、お姉ちゃーん

良かった! 無事だったんだ!

橋まで戻ってくると
シルフィと鳥男が飛行船の前で待っていた。

怪我はないかい?

そちらこそ

なんだかよくわかんないけど、帰れてよかったねー

う、うん


心残りがないわけではないけれど

でも




ボクたちは
飛行船に乗り込んだ。










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