【36】

























逃げればいいんだ!


そうだ。
なにも王子とやらが来るまで
おとなしく待っている必要なんてない。


逃げよう。
ボクは部屋を見回した。


廊下……は無理だろう。
出て行った連中と鉢合わせする
可能性がある。

それなら、窓。は?

駄目だ。開かない


だとすると……

お姉ちゃん、こっちこっち

え?


声のしたほうに振り返ると

こっち!

天井板を1枚ずらした穴から
シルフィが顔を出していた。

え!?

時間がないよ。早く!


天井裏に引っ張り上げられ
板を元通りにしたのと
時同じくして

部屋に誰か入ってきた。




誰だかは知らない。

ボクたちはもう逃走してたから。











通風孔を通り抜けて、






















人目を避けて、
足音を忍ばせて、












































そうしてボクらは
あの橋にまで辿り着いた。

やあ、無事でなによりだ

生きてたんですか!?

そこに待っていたのは
馬車と一緒に
爆破されたと思っていた鳥男だった。

と言うか、どうやってここへ!?

鳥なら楽勝さ

なるほど!


いや、なるほどじゃない。

生き延びたのなら
そのまま逃げればいいのに
どうしてこんなところに来てるの?



それに……
シルフィもただの男の子じゃない。



この人たちはなに?
ただの人買いに捕まった人じゃないの?

あなたたちは、

長居は無用。
あとは飛行船の中で話そう

は、はい


そうだ。
こんなところで立ち話なんかしている
余裕はない。

まず、ここから離れないと。




ボクが飛行船のタラップに
足をかけたその時、

まああああああてええええええええ

まてー

まてー

ハニワが
やる気のなさそうなワタアメを引き連れて
追いかけてきた。

わ!


もしかしてあれが王子だろうか。
もしそうだったらどうしよう。
趣味じゃない。



そんなことを思われているとは
知らないだろうハニワは、

くらえ!
ハニワビィィィィィム!!








ハニワのビームで
飛行船は粉々に爆破された。


ここの人たちって爆破するの好きだな……


なんて思っている間も無く

わー

わー


ボクらは
やる気のなさそうなワタアメたちに
再び捕らえられてしまった。









■突然ですが、クスクス山入口の門を破壊しようとしましたか?

した。



してない。

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