【21】
サン・デルモントは
今までに見たこともないほど
大きな街だった。
通りの両側に店や屋台が並び、
見たこともないような商品が
所狭しと並んでいる。
どこからか
甘い匂いも漂ってくる。
これは期待できそうだ。
そんなことを思いながら
店を眺めていると
とある1軒の店で
見覚えのあるホウキを見つけた。
あ!
あれはボクのホウキだ。
こんなところで売られているなんて。
店先で立ち止まったボクを見て
店番らしい少年が奥から出てきた。
買うの?
5万ゴールドだよ
5万!?
ホウキの値段としてなら法外な額だ。
でも、魔法のホウキとしてなら
5万でも買う人はいるかもしれない。
だけど
盗品、だよね
盗品?
ボクの問いに
少年は愛想笑いを引っ込めて
胡乱な目を向けた。
なんの根拠があってそんなこと言うのさ
だってこれはボクの、
名前でも書いてあるって言うの? どこに?
証拠もないのに妙なこと言うのはやめてよね
……
確かに。
このホウキが自分のものだという証拠は
どこにもない。
彼が盗んだと言うわけではなく、
盗品だということを知らずに
何処かから仕入れてきた
ということもあり得る。
でも。
そのホウキがないと困るんだ
要るのなら買えばいい。
売らない、なんて言ってない
5万……
物々交換でもいいよ。宝石1個くらいかな
どうしよう。
宝石と交換する。
(宝石を所持している時のみ選択できます)
諦める。