【77】

























買えない


宝石なんて持ってない。
値切ったところで
ボクの所持金まで下がるはずもない。

あーそりゃあ残念だったねぇ


さすが商人だ。
貧乏人にはにべもない。

ボクはトボトボと外に出……

わあっ!


入ってきた誰かとぶつかった。

ごごご、ごめんなさ

いー!?

あっれー!? ルチオじゃーん!

サンディ!






こーんなところで会うなんて
ひさひさひっさー!

サンディこそどうしてここに!?

あ、ここのお隣がウチの家なわけー

で、シケた顔してるってことは、まぁだ何も見つけられないんだ?

う、うん。ホウキも失くしちゃって


ボクはチラリと店先のホウキを見る。

あー?


サンディは
くるりと少年を振り返った。

そのホウキちょうだい!

はあ!? タダで!?
ありえないっしょ!!

ウチとロンの仲でしょーが!

こういう時だけ仲良くならない

あのことをバラすぜ?

……

わかったよ。それじゃお代のかわりに頼みごとを聞いてくれる?

頼みごと?


その前に
「あのこと」が
とっても気になったけれど










実はね、僕、キルバスに手紙のやり取りをしている友達がいるんだけど
この数ヵ月音沙汰がなくてさ

でも僕は店番があるからここを動けないんだ。
代わりに見て来てくれる?

そんなことなら喜んで

そんなこと、ね

あ、いやどうでもいいとかそういう意味じゃなくって

キルバスまでは汽車が出てる。
帰ってきたらホウキをあげる

わかった

ホウキ前払いでええやん。ケチやなぁ

それじゃ商売は成り立たないよ

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