花蓮

ここだよ。

あれから数刻


ようやく花蓮の家にたどり着く


・・・ここですか。


賽は家の巨大さに驚く

その大きさはもはや豪邸といえるほどであった


使用人A

おかえりなさいませ。
花蓮様。

ぺこりと、一列に並んだ使用人たちが一斉に花蓮に頭を下げる


煌炎

おたく、どーゆープレイが好きなんだよ。
お姫様気取りか?

使用人B

無礼な!!!!


煌炎の言葉に、使用人の一人が叫んだ


使用人B

花蓮様は天衣【アマゴロモ】家のご令嬢であらせられるぞ!!!
虫けらの賊が無礼な口をききよって!!


しかし、花蓮が使用人の制止をする前に、賽が使用人に向かって言う



おまえたちこそ無礼だぞ。

賽は珍しく怒っているようだった

使用人B

何を申す!

おまえたちは知らないのか?
このお方は狐王皇【コノウオウ】家第4子息、煌炎様でおらせられるぞ。

賽が言い放つと使用人たちは慌ててざわめきだす


使用人A

なんと!
狐王皇家のご子息様がこのような場所におられられるはずがない!!
狐王皇家は狐と人間の間に生まれた晴明の子孫で多大な法力を持つと聞く。
そんなガキが・・・。

煌炎様!
お力をお見せください!
そうすればこやつらも信じるはずです!

煌炎

めんどくせぇ。

必死に煌をかばう賽であったが、当の本人は特に気にする様子もなく、むしゃむしゃと両棒餅(ジャンボモチ)をほおばっていた。

使用人B

どうせできぬのだ!
賊がいきがりおって!!

賽と使用人たちがにらみ合っていると、ズシンズシンと地から響くような足音がする


使用人A

!!
幕府のお方が来られた!!
今回の献上金を急いで用意しろ!


賽とにらみ合っていた使用人だが、焦った表情をして中の者たちに叫んだ


煌炎

・・・?
幕府だあ・・?

使用人B

おぬしらにかまっている暇はない!!
さっさと立ち去れ!!



その横で花蓮ががくがくと震えていた

花蓮

ころっ・・殺さ・・・れるっ。


そこに足音の主が到着した


何だ?
準備はまだなのか?

ぬっと、煌炎の後ろに巨大な影が映ると同時に煌炎が真横に吹っ飛ばされる


河巌

おや?
ハエがいたようだ。

煌炎様っ!!!!

河巌

俺が来る前に金は用意しておけと言ったはずだ。
早くしないと嬢ちゃん殺すぞ。


そして突如現れた男は花蓮を見てにたりと笑う


河巌

・・・先ほど、荷を奪うのに失敗したようだな。
どれ、罰が必要か。
ん?

花蓮


男が花蓮に手を伸ばす




その瞬間




今度は男の巨体が横に吹っ飛ばされた


煌炎

ペペッ・・。
おたくさぁ、不意打ちは無しでしょ?


瓦礫の山から現れた煌炎は頭から流れる血を腕でぬぐって、その血をなめた

使用人B

ひっ・・。
おまえ、何してくれる!!!


使用人の顔は真っ青だ


河巌

・・・誰だ?
俺を飛ばしたのは。


砂煙の中、男は長い手足でゆっくりと巨体を起こす


煌炎

おたくこそだれだよ?
相手の名前を聞くなら先に名乗るべきだぜ?
親に習わなかったのか坊ちゃんよ。


その言葉に、ピクリと男は口角をあげる



河巌

肝っ玉が据わったチビだ。
冥途の土産に教えてやろう。
俺は幕府の将軍直属の部下である河巌【カガン】。

煌炎

チビだぁ・・?
潰すぞデカ物。
いきがってるとこ悪いが、冥途はおたくのがお似合いだぜ!!




そう言って煌炎も整った口元をニヤリとさせた



使用人A

バカな!!
あの口の利き方!!
河巌様はあの妖怪の血を受け継ぐ将軍七雄のお一人だ。
殺されるぞ!!

なるほど・・。
道理で人間離れした肉体。

使用人A

そうだ、人間がかなう相手ではない!!
すぐに止めに入れ!!
私たち全員殺されてしまう!!

使用人は賽に詰め寄るが、賽は涼しげな顔つきで使用人に言い放った



・・・殺されるのは幕府の男。
煌炎様はあいつにかなう相手ではない。

使用人A

ただの賊が何をぬかす!??

賊ではありません!!
言ったでしょう、狐王皇家だと。

七雄ガラッパの章【転】

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