【15】

























視界の端に
紅いものが飛び散ったのが見えた。








ああ……


ボクは……
























あれ?


切られた音がしたのに
血が飛び散ったのに

どこにも怪我がない。

馬鹿な!
そ、それは……




打ち震える女神の視線の先を見ると




ハイパーフセーグMAX(盾)が
真っ二つになっていた。

やっぱり盾だったんだ……!


でも確か、






どんな矛でも防ぐ






って言ってたはずなのに。


もしかして矛以外の武器なら
普通に壊れるのか?








……と、そんなことを
言ってる場合じゃない。













盾だとは言え、
見たことのある形が
真っ二つになっているのを見るのは
心中穏やかでいられない。


まるで
ジンジャーガールが
切られたみたいで……

えげつな

あまり気分のいいものではない。






それは女神も同じだったようで

そ、そんな……罪のない人を殺めてしまうなんて!

くっ……身代わりを立てるとは卑怯な!
今回はその娘に免じて引こう!

さらばだ!

おい

ツッコミどころを山ほど残して
女神はまた巣の底に沈んでいった。




巣の底は
穴も開いていない。

いったいどうやって
抜け出ていったのだろう。











そして

卵がない!

女神が持って行ったのか
一緒に吸い込まれてしまったのか

卵が消え失せていた。






































……

ボクは手ぶらで森に帰った。

卵がなければクッキーは焼けない。
理不尽ではあるが
最終的に手に入らなかったのは事実。



……仕方がない。














巨木の前で
ジンジャーボーイが待っている。
出て行った時と同じように。








って









あれ?



相方は?

なにか変だと思ったら
ジンジャーガールがいない。

出かけているのだろうか。

ここはジンジャーボーイの森


ジンジャーボーイは
唐突に喋り出した。

クッキーが欲しいのかい?

卵とミルクと小麦粉に、しゃっきり辛いショウガを混ぜて

200℃でこんがり焼いたクッキーを

……


なにか変だ。
ジンジャーガールは?

留守、なんじゃないの?

















まさか。






あの盾が壊れた、から?











































































































うわあああああああああっ!!




ボクはその場を飛び出した。






なんで?


なんで?


なんで?

なんで?


なんで――!?










振り返れなかった。
















だから
ジンジャーボーイが


どんな顔をしているかもわからなかった。









(持ち物から盾が消えます)

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