そして煌炎と賽は町の中へと足を踏み入れた



辺りは妙に静まり返っており、目の前では一人の少女が泣いていた


煌炎

どうしたんだ、ガキ。


煌炎は近づき、上から問いかけた

しかし、少女はというとチラリと煌炎を見て、再び泣き始めた


花蓮

ヒック・・・おなかが空いて動けないよぅ。


チッと煌炎は舌うつ

煌炎

食いもんはやらねぇ。
全部俺のもんだ。


しかし、煌炎の否定にも関わらず、賽は勝手に懐に入れていた団子の包みを少女に差し出した


煌炎様、お可哀想ですよ。
少しぐらいいいでしょう。


そして少女は賽からそれを受け取り、嬉しそうにはくはくとたいらげてしまった

煌炎

ちっ。

花蓮

ありがとう、優しいお兄さん!!
あの・・・これ、代わりにあげる!!!

わぁ、綺麗なお花ですよ煌炎様!
お嬢さん、ありがとうございま・・。

煌炎様!!!??
せっかくもらったお花が!!

煌炎

・・・。


その花は煌炎の斬撃で真っ二つになっていた


花蓮

ひ・・・ひっどい!!!!
何てことするんですか!!!!

煌炎

何てことするんだはこっちのセリフよゥ。
おい、ガキ。
俺たちを眠らせる気だったな。

花蓮

・・・っえ?

煌炎

これは遊園花【ユウエンカ】。
茎にうっすらとある棘に触れるとたちまち眠気に襲われて眠っちまう。
おおかた荷物を盗む気だったろ?

え???
え???

花蓮

あ・・・。

煌炎

だがこれはおたくの意思とは違う。
だな?


そういうと煌炎はにやりと笑う

今度は少女ははっとした顔をした


花蓮

ど・・・どうしてそこまでわかって・・。

煌炎

臭いだ。
幕府んやつらの臭いがプンプンしやがるからな。
だが・・・今はいねぇみたいだな。

花蓮

ぁ・・・でも私・・しっ失敗したし・・・ばれちゃったから殺される・・・。
ぁ・・・ああ。


少女はそのまま死への恐怖からか、がくがくと震えて地面にへたり込んだ


煌炎

おまえが死ぬのは俺たちのせいか?


そんな少女を見て煌炎が静かに言った


花蓮

・・・え?

煌炎

てめぇのせいで罪のない命を奪うことになるのは人間として恥だとクソ親父が言ってたからな。

花蓮

た・・・助けてくれるの?

煌炎

・・・ああ。
勘違いするなよ、俺は俺のためだけに動いてるだけだからな。

煌炎は吐き捨てるように言いながらも、へたり込んでいる少女を引っ張り起こした


煌炎

案内しろ、おたくの家まで。
俺ぁはらへってんだ。
食い物がないなんて嘘だろ?
おたくの服から肉の臭いがする。
・・・・こりゃぁ鹿児島黒豚か?

花蓮

っ・・・!!////

い・・いっけん落着ですか?

煌炎

おまえいたのか。

えぇー!!!???
さっきからずっといましたが!!!!

煌炎

知るかよ。
てか、さっさといくぞ。

花蓮

あ・・・歩けない。
腰が抜けちゃった・・。

煌炎

はぁん??!!
ホント役たたねー!

煌炎様落ち着いてください!!
その女の子を運んだらいいんですよ!
えーっと、お名前は何でしょう?

花蓮

・・・花蓮【カレン】。

七雄ガラッパの章【起】

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