ミヨ

ひゃーヤバイ!ヤバイよ!

ツヨシ

どーしたんだよミヨっち

また次の日……今度はミヨが頭を抱えて独り言をつぶやいていた
そこへ四人が集まってくる

ミヨ

んー、ウチすっかり、まったく、完全に忘れてたわー

ツヨシ

だから何をだよ!

ナナ

み、ミヨちゃん?わ、忘れてたって……別に……いいんじゃない?
ほら……ね?無理して思い出さなくても……

アキラ

そうですよミヨさん。ときには忘れることも必要だと言いますよ。
人間はね、忘れることが出来る動物だって言いますし

ミヨ

な、なによん。二人とも怖い顔して……
た、たいしたコトじゃないし

ツヨシ

だからなに!

ミヨ

美術の宿題忘れたのよ

ツヨシ

え?

ナナ

あっ

アキラ

ああ~


アキラとナナは互いに顔を見て、拍子抜けしたような顔をした。

シウ

オレ、描いてきたぜ!


するとシウが割り込んできた。

シウ

ホラっ!


シウが開いて見せた絵に、四人はスッカリ黙ってしまった。
そこには池が、青く美しい池が描かれていた、
池の真ん中には麦藁帽子が浮かんでいる。

アキラ

シ、シウ……コレ……オマエ……

ツヨシ

あーあー
ナナっちの帽子な
あったなー

ミヨ

ありましたねー
あれ、結局どうなったんでしたっけ?
ナナさん

ナナ

え?
う……うん……
そ、そのまま……

シウ

そうだっけ?オレ、取ってこなかったっけ?
ボートに乗ってさ……

ナナ

う……うん……

アキラ

まーまー、いいじゃないですか
過ぎたことだし
それよりも未来!明日のことを考えましょう!
さしあたって……は……宿題ですね!

ツヨシ

た、たしかに……
それが問題だ……
今から描く……のは無理か?

アキラ

というかツヨシくんの場合、時間があっても難しいですよね

ツヨシ

んだとーーーっ
こら!アキラ!オマエだって同じようなレベルだろ!絵の才能的には!

アキラ

ははは、そうでした、そうでした
スミマセン
ま、ワタシは速度的には早いので描きますよ!

ミヨ

ウチも負けない

こうしてその場は空気が流れ、何事もなかったような一日が進んでいった

ナナだけは、浮かない顔をしていたが、アキラと目を合わせると懸命に明るく振る舞ってみせた

ナナ

ミヨちゃんも……無事……忘れたのかな?
あとは……私と……アキラくん?
わ、私も早く忘れなくっちゃ……
次の回に間に合わなくなっちゃう…………

記憶……とは、曖昧で不確かなようであり、確かなリアリティを持つ。
何十年も忘れていた記憶が突然、なにかのきっかけで鮮明に蘇ることもある。

彼らはその記憶を自ら騙し、忘却の中に身を置こうとあがいていた……

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