あれから、一年後の夏休みも終わり頃、ツヨシが部活の帰りにツヨシに打ち明けた
ツヨシ知ってる?青池って
ん?
なんか、この時期だけ青く染まって見えるという……
ああー青沼のこと?知ってるよ
あれから、一年後の夏休みも終わり頃、ツヨシが部活の帰りにツヨシに打ち明けた
今度みんなで行こうよ
んー、なんで?あんな山の中になにがあるっつーんだよ
え?やっぱ知らないのかい?
だから何が!
好きな人と青池の前に立ち祈ると結ばれるって……
……………………
な、なんか言ってよ、恥ずいでしょ!
恥ずいなら言うなよ!聞いてるコッチが恥ずかしくなるじゃねーか
い、いいじゃないか、ボクたちもう三年でしょ?ボ、ボクはナナのコトが好きなんだよ!
な……に?…………そ、そうか……わーったよ、なんとかしよう
とりあえずアキラを通そう
オレはアキラから聞いたことにする
アイツならなんかそれらしいコトにしてくれるんじゃないか?
よ、よし、じゃ早速言ってくるよ!
シウは張り詰めた顔をほころばせながらアキラの方へ駆けていった
ったくシウのヤツ、狙ってんだか、天然なんだか……
ツヨシは少し寂しそうな顔をした後、空を見上げて微笑んだ
ま、いっか……アイツなら……
それから一週間ほど後、5人は青池の前に立っていた。
な、なあ……ココって前にみんなで来たことあったっけ?
……なにか思い出したのか?……
んー、ボクは知らないよ
私もー
ウチもー
ワタシも知りませんね
そ、そうか……そうだよな……でも……誰かと来たことがあったような……
まあまあーいいじゃないですか?
さあ、この青沼の……青池でしたか?の伝説を試してみましょう
オマエはいつもそうだ……
はぐらかしやがって……
え?アキラも知ってたの?
なんです?シウくん、それが目的でしたか?
シウは耳まで真っ赤になってうつむいた
ん?どーしました?シウくん
な、何でもないよ
そーですかあ?まーいいでしょう
アキラは一呼吸すると静かに話しをはじめた
この青池にはさまざまな伝説があります。
まあ大半は、この水でお金を洗うとお金持ちになるとか、後ろ向きコインを投げ入れると願いが叶うとか、恋人同士で拝むと恋が長続きするとか……まあとるにたらないものです
しかし…………中には面白い噂話もあるのです
おい……なんだ?こんな予定はないだろう?
そろそろ…………
風が吹きます!
ビュゥッ
このとき風が吹いた
そして誰かのモノが飛ばされ……ああ、ナナさんの帽子でしたか……そして池のまん真ん中に落ちる
ピチャ
まるで、そのとおりに……アキラがいうとおりになっていく
そして、誰かがそのモノを取り返そうと池に入ると言い出すんです
ボ、ボクがとって来るよ
シウくん……そうですね。いつもきまってアナタだ
なにを言ってるんだよ!アキラ
そうだ……コイツなにを言っている?
はやくシウが行けばいいんだ
そうすれば……
そうするとどうなるのでしょう?
だから何が言いたいんだよ!
そうですか……ツヨシくんは……いいえ……みなさんやはり覚えていないのですね
アキラは全員を寂しそうな顔で見まわした
ワタシともうひとりを除いては!
そして顔を上げると、その表情はいつにもなく厳しいものだった
この泉は『時と記憶の泉』という別名があるのです
この水に触れた者の記憶を消し、時を巻き戻すという
こ、こいつはやばい……
やるか?
しかし…………
かくいうワタシもついさきほどまではすっかりと忘れていました
ここの場所に来て…………
スマホを見るまではね
スマホ?
ええ、そうですツヨシくん
さきほど水がなぜ青いか検索していたときです
おそらく…………ここでの記憶はこの池から遠ざかるほど消えていく……
そして時とともにやがて完全に消えてしまう……
何回目のことでしょう?ワタシは……おそらく偶然にそのことに気が付いた
そこでスマホのこの池に関する情報サイトに、すこしずつ細工をしていったのです
な、なにを言っているの?
ナナさん……アナタのせいかは知りません……
が、
アナタの麦わら帽子を取りに行った者は決して帰らない
え?
ちょっと何を言ってるの!
わかりましたミオさん
より正確に言いましょう……
死ぬのです
今回で言えば、そこのシウくんが死ぬ役目なのでしょう
何が言いたいんだよ!
まだ分かりませんか…………
一呼吸おいてアキラまた皆を睨んだ
この中に殺人鬼がいるんですよ!
連続殺人を楽しんでいるね!
突然稲光がするとあたりは真っ暗になった