『ミッション〜2つの平和を勝ち取れ〜』
戦争のない世界、人種や民族によって迫害されない世界、医療を受けられ飢餓のない世界。果たして、このような世界は『平和』だと言えるでしょうか。
上の世界の具体例を挙げるとすれば、我らの母国、日本がそれに近いでしょう。確かに、世界では一番平和である国の内の一つといえます。
しかしながら、私の目には表面上の平和でさえ危ういように映っています。
その理由を述べる前に一つ確認しておきたい事があります。
争いは何故生まれるのでしょう。
恐らく多くの人は、人間一人ひとりは決して一人として同じ人間はいない訳で、相互間で必ず違いが生まれてしまうから、と考えている事と思います。
確かにこれは要因の内の一つですが、それだけではありません。さらに、日常生活でうけるストレスや、周りの環境、不自由さや他人の影響、精神的不安定な状態になった時の心の支えがない、などの要因もあります。
つまり、心の平和が、平穏が保たれていない状態も、争いのトリガーになり得るということです。
ここで、少し話を戻します。違いというものを乗り越え、平和という点では先を進んでいる環境があります。
私の通っている高校では、『違いを認め合って、思いやりの心を』と言う教育目標がありますが、そんな環境であるからか、他の学校だったら目立ってしまう程に個性的な性格を持った人が多くいて、それぞれがお互いを受け入れ、お互いを高め合う事が出来ているのではないかと感じています。
しかしながら、このような環境は、現実には決して多くなく、お互いの違いを理由に軋轢が生まれたり、時には相手の命をまでも直接的・間接的問わず奪ってしまう事もあります。
果たして、このような状況を平和と言って良いのでしょうか。確かに争いのないという点でのみ平和は保たれていますが、日常的な平和や、精神的な平和、つまり心の平和というものは保たれていません。
日本は、世界は、まだ完全な平和へと歩み出すことが出来てすらいないのです。
ここで、一度以上のことを一度振り返ってみましょう。
平和には、物理的平和と精神的平和の二種類がある。
前者の物理的平和とは、争いはもちろん、治安や秩序が守られていて、区別はあっても差別により迫害を受けない世界の実現のこと。
そして、後者の精神的平和とは、日常生活において不自由がなく心にゆとりがあり、また、お互いの違いにより生じる隔たりを乗り越えて、お互いを認め合うことで、自己を高めていくことのできる世界の実現のこと。
この精神的平和は、物理的平和と違って視認することは出来ませんが、争いの根源となる心の平和に関わる、いわば『平和の中枢部』と言えるものです。
しかし、残念な事に今日の国際社会は物理的平和を表面上だけ解決しようと、いたちごっこをしている状態で、精神的平和の重要性に気づいてすらいません。
ましてや、武力行使により、その争いの根源を排除しようとさえしています。
これでは、平和を目指しているという体裁を立てているだけで、ただ争いを続けているに過ぎず、負の感情を連鎖させてしまっています。
しかし、その武力行使がなければ、より多くの人々が巻き込まれていた可能性があった事も完全には否定する事はできません。では、私たちはどうしてゆけばよいのでしょうか?
その答えは単純明解。2つの平和を勝ち取る事です。2つの平和とは先ほど話した通り、物理的平和と精神的平和の事です。しかし、二兎を追う者は一兎をも得ずと言われるように、片方すら達成できないこの2つの平和を同時に勝ち取る事はできないのではないでしょうか。
そこで、思い出してみてください。精神的平和とは、平和の中枢部、つまり中核・根源にあたるものです。
故に、これを達成する事ができれば自然と物理的平和を勝ち取る事ができるのです。
では、精神的平和を勝ち取るにはどのようにすればよいのでしょう。
それは主に二つあります。
一つ目は、教育です。と言っても、学力の為ではなく精神的な成長の為の教育のことです。まだ、自分の意思や性格、ステレオタイプなどが固まりきっていない子供のうちに正しい道徳教育を施す事で、無駄な争いや偏見がなくなり、心の安定に繋がります。
更に、集団教育により、違いを認める事の大切さを知ることが出来て、これが差別を意識レベルでなくすことに繋がります。
二つ目は、衣食住、そして衛生や人間関係などの周囲の環境に対する支援のことです。周囲の環境に対する支援というのは、例えば、孤立しないような地域コミュニティーの形成、道路や外壁の清掃等多岐に渡ります。これらの支援を行うことで、人々は心に落ち着きと余裕を持つことができます。
以上の二つの事を達成すれば、ほぼ精神的平和を勝ち取ったも同然です。あとは、人々の意識がこれらの平和の意識へ移り行くのを待つのみです。
再度みなさんに問います。
今、この世界は本当に平和でしょうか。
そして、平和ではないと思った人へ。
ミッション『2つの平和を勝ち取れ』
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