来栖 禅

皆様、ご機嫌如何でしょうか?

はい? 私……ですか?

来栖 禅

私は何時如何なる時も、
上機嫌で御座いますが……
ここ数日、少々浮かれております。

来栖 禅

その理由は、皆様です!

優秀な解き手の素晴らしい謎解きが、
私を晴れやかな気分にさせるのです。

来栖 禅

そして、お気に入り登録者数や
閲覧数が着実に伸び
解き手の数が増えていることが
嬉しくてたまらないのです!

これはもうパーティーを開くしか
ありませんね!

魚喃 アト

……おい、禅。
なにを、バカみてーにはしゃいんでんだよ?

来栖 禅

聞いてください、アト!
私は今、猛烈に感動しているのです!

魚喃 アト

へいへい、いいから……早く謎を出せよ。

お前の口上は、いつだって
まわりくどいんだっつーの……。

来栖 禅

おやおや、これは大変失礼致しました。
それでは、本日の謎と参りましょう。

来栖 禅

表題は『宇宙電波』。
皆様は、謎の声に
苦しめられたことはありませんか?

魚喃 アト

オレはお前のながったらしい話に、
毎度毎度苦しめられてるっつーの……。
ったく、タコ助が。



第十夜「宇宙電波」

『お前は社会のクズだ。

人に迷惑ばかりかける厄介者だ!

だから監視してやる!』

そんな声が聞こえる……。

しかも、四六時中幾つもの視線を感じる。

誰かが俺を見ている、宇宙電波を感じる。

空から降り注ぐ電磁波が俺を苦しめる。



なんだ、この感覚は?

もしかして俺は統合失調症なのか?

徐々に現実と妄想が溶け合ってゆくのか?

そう思った瞬間――。

『お前は狂ってる! 害悪でしかない!

生きてるだけで汚らわしい!』

自分への問いに答えるように声が聞こえた。

またもや宇宙電波だ! 脳が疼く!

やめてくれ……本当に頭がおかしくなる!

いや、もう既に狂っているのか?

強烈な危機感と共に精神の限界を感じた俺は、

数少ない友人に宇宙電波について

相談することにした。


すると友人は俺に

『お前は狂ってないし、

社会のクズでも害悪でもない!

生きてるだけで汚らわしいなんて言う奴がいたら、

俺がぶっ殺してやる!』と言ってくれた。



俺は涙を流し、友人を殺した。

視線を感じる。

宇宙電波が体にまとわりつく。

俺は監視されている。

武器がいる。

闘いが始まる。


魚喃 アト

宇宙電波って、なんだよ……?

来栖 禅

高速電波バースト、
通称FRB(Fast Radio Burst)のことかと。

魚喃 アト

はっ? マジであんのか!?

来栖 禅

ええ、長年宇宙物理学の
謎の1つとされていたのですが、
ついにオーストラリアのパークス天文台が……。

魚喃 アト

もういい、頭が痛くなってきたぜ……。

来栖 禅

おやおや、宇宙電波の影響でしょうか?

魚喃 アト

……うっせーよ。
電波野郎はおめーだけで十分だ。

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