――そんな一時があってから、少しの季節を経て。
わたしと学(まなぶ)は、恋人同士になった。
もちろん、恋人になって終わりじゃない。
大変な日々が、めまぐるしくやってきた。
約束したように、いろいろな場所へ行った。
わたしの知っている場所、知らない場所。
学(まなぶ)の見つけてきた場所、苦手な場所。
お互いに、一緒にいるのが、どこか当たり前のようになっていった。
でなければ、慌ただしい日々を越えられなかった。
今振り返れば、そう想う。
推薦、試験、進学、新生活、アルバイト、就職。
どれもが大変で、新鮮で……今までの考えを変えるくらい、刺激的でもあった。
楽しかった、時ばかりじゃない。
でも、何度も遊び、数えられないくらいケンカもして、一緒に涙を流しながら……わたし達は、それらの日々を過ごしてきた。
幸せ、と言っても、いいんだと想う。
学(まなぶ)――今は、夫となった彼――はいつも、違う考えのわたしを支えるように、ずっと側にいてくれた。
大会で結果が出せない時も、親と意見が食い違った時も、望みの大学に合格した時も、就職活動で悩んだ時も……ずっと、ずっと。
一緒に、同じ歩幅で歩いてくれる人。
彼も、わたしも、次第にそうなっていった。