武器を持たぬ今の彼なら、近づいても大丈夫だろう。ミシェルはステファンに歩み寄って尋ねた。
すると、ステファンは何時もの冷静な顔つきに戻って答えた。
ステファン、やはり君は僕を狙っているのか?
武器を持たぬ今の彼なら、近づいても大丈夫だろう。ミシェルはステファンに歩み寄って尋ねた。
すると、ステファンは何時もの冷静な顔つきに戻って答えた。
坊ちゃん、私は、貴方様を守ることが務め。貴方を狙うはずがありません
え……でも、ナキお姉さんを狙ったじゃないか
ナキ、お姉さん? もしや、あの手のことでしょうか?
二つ返事で答えるミシェル。ステファンはナキの方を見ると、ゆっくりと瞬きをする。しかし、ミシェルの敵でないことを悟ると、ナキの前に移動し、その場で丁寧な土下座をした。これには、ナキも思わず手をオーバーに震わせる。
この度は、無礼な態度をしてしまい大変申し訳ございません
ナキはいやいやいやと手を振る。あまりにも殺気の無いステファンに、ミシェルはつい首を傾げた。しかしその首を元に戻すと、核心をつく。
ステファン、君も、以前僕のお父さんとお母さんを殺した殺人事件は知っているだろう?
ええ
あの事件が終わったのと、君が僕の執事になったのは、ほぼ同時期だ。だから、僕は君がその殺人鬼だと思ってる
ミシェルが本音を伝えると、ステファンは憂いを帯びた顔をする。ナキはナイフを物置の中に隠し、ミシェルの足元から手を出してステファンを見た。
……あの人のことですか
あの人? 僕の両親を殺した人間の知っていたのか!?
眉間にしわを寄せるミシェルに、静かに頷くステファン。
……ええ。もう、既に亡くなっておりますがね
え……!?
ステファンの言葉に、ミシェルは耳を疑った。
――続