何の音??

二階の部屋から

謎の音が



蜂か何かの羽音だろうか


階下まで響くというところで



どれほどの音がしているのか


おわかりいただけるとおもう


何の音だろうか




二階に…


向かう…










一段一段


階段を上がる


そのたびに


そのおとが

だんだんと大きくなる


何ともいえない


不安だけがよぎる




ゆっくりと


扉に手をかける


扉を開けると…

部屋一面に



数え切れないほどの



蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅



由に何万

蠅が部屋一面

飛び交っていた




辺りに響き渡る

羽音



まさに轟音


工事現場の
ドリルほどのおと





いくら小さな蠅とはいえ


それだけの数が集まると



ものすごい音






大急ぎで
殺虫剤を取りにいって



無我夢中で散布する



そうしていると



その蠅の多くが



ある一箇所に
集中していることに気づく


その場所は

人形の周り



扉が閉まっているにもかかわらず


その人形の周りには


無数の蠅




蠅が人形にたかって


真っ黒になっている



その周りだけで



何百
何千


もの蠅が…




もう人形にかかっていることも


気にすることもなく


必死に殺虫剤を



ひたすらかける



すると


ようやく人形の姿が




目に見えるようになってきた





ここで不思議なことに気づく





ひたすら

殺虫剤をふりまいて


退治したにもかかわらず




蠅の死体が



ないんだ




明らかに



数は減ってる


逃げたにしても





ある程度あってもおかしくない


でも



ないんだ






人形の周り


消えてた


でも



どっかにいってしまってる









まるで


グリーンマイルの


ジョンコーフィーの


吐き出した



黒い虫のように



どこかに消えてしまっていた










やがて




蠅はいなくなる





人形は


なにもかわらない表情で…



笑っていた



口角が



あがっていた

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