青鐘 由良

上条……、イライラしすぎ……

上条 智也

あ?

青鐘 由良

怖い怖い

上条 智也

なんで今日に限って生徒会の仕事が入ってるんだよ……殺すぞ……

青鐘 由良

落ち着いて!落ち着いて上条!物騒だから!

青鐘 由良

泉ちゃん?

上条 智也

そーだよ。寝込んでるから早く帰りたいのにさぁ!

青鐘 由良

早退すればよかったじゃん

上条 智也

朱里ちゃん先生がさせてくれなかったんだよ……

青鐘 由良

お、おう……

昼に一度会った泉は素人の俺から見ても、辛そうだった。
それに……

上条 智也

俺が部屋を出るときのあの顔……

悲しそうで寂しそうで。
その顔が、頭から離れずに気になって午後の授業はロクに頭に入っていない

青鐘 由良

はい、その書類で最後だよ

上条 智也

ん、……ほらよ

青鐘 由良

はい、オッケーだよ
泉ちゃんによろしく言っといてね

上条 智也

へいへい

由良と別れて、校内をこれでもかというぐらい全速力で走る。外は既に真っ暗で嫌な予感がする。
いつもより時間はかからずに、部屋まで着く。

上条 智也

悪い!遅くなった!

泉の部屋に入ると、そこで彼女はちゃんと眠っていた。
近づいて額に手を当ててみると、相変わらず熱い。
冷却シート、貼ってやればよかった……。

上条 智也

ん?

目元を見れば、流れたような跡。それに少し赤い。

上条 智也

……泣いてたのか

額に当てていた手でそのまま目元を撫でる。
泉の肌は柔らかくて、触り心地がいいからつい触ってしまう。

上条 智也

ごめんな、ひとり、寂しかったよな

泉はよくこうやって一人で泣く。
俺の前ではあんまり泣かない。弱みなんて、あの日しか見たことがない。

上条 智也

…俺、そんなに頼りない?

小さくつぶやいて部屋を出る。
きっと、聞こえてないはずだから。

上条 智也

はは、何言ってんだろ、俺

泉が甘えることがへたくそなのは、前から知っていた。のに、勝手に朱里先生に嫉妬して、昼からどす黒い靄が晴れなくて気持ち悪い。こんな自分が嫌になる。

上条 智也

……あ~、こんなのやめだ

自室に入って、着替える。
明日からは3連休だし、傍にいてやれる。
特に生徒会の仕事もないし、委員会の仕事もない。

上条 智也

晩飯、作らねーとな

気持ちを切り替えて、俺はキッチンに立った。

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