目が覚めると、そこにはトモがいた
ん……
目が覚めると、そこにはトモがいた
トモ…?あれ?もう、お昼…?
…おん
あぁ、寝過ごした。
トモはなんか機嫌悪そうだし。絶対朱里ちゃん余計なこと言ったじゃん。
熱は…、その様子じゃあ、帰ってから測ってないな…、体温計とってくるな
自分で、行く…
何言ってんの、おとなしく寝てろ
うぬん…
起き上がろうとしたら軽く肩を押され、ベッドの中に戻されてしまった。
ともー……
ん~、なに~?
わ、帰ってくるの早いよ
いや、そことそこだからな?
熱で頭おかしくなった?
そんなわけないし!
わかったわかった、ほら、熱測って?それと飲み物もちゃんと飲む!
はーい
スポドリと体温計を渡され大人しくトモの言うとおりにする。
まだ春先なのに冷たいスポドリが美味しく感じるから、相当ひどいんだろうなぁ、と他人事のように感じる。
そうこうしているうちに体温計からピピッと音が鳴った
39度2分か……、熱は上がってる?
……うん
分かった
晩飯、おかゆなら食えそうか?
いつもよりは食べられないと思うけど……
了解
ここの棚なら手が届くから、スポドリ、置いておくな
……ありがと
気にすんな、じゃあ、学校戻るな
……うん
いつまでたっても、『寂しい』の一言が言えない私は、ずっとこのままなんだろうか。熱が出てると思考がどんどんと後ろ向きになる。
…そんな顔すんなよ、あと二時間もしたら帰ってくるって
よっぽどひどい顔をしていたのか、トモが優しく頭を撫でてくれる。
……行ってきます
……行ってらっしゃい
ん
トモは部屋のドアを閉めて、学園へ戻って行ってしまった。
部屋はまた、静かになる。
……うぅ
いつもこうだ、肝心な時に肝心なことが言えない。
昔からそうだった。
ほんとうは、ひとりは、いやなんだ
…やだ、ひとりは、ごめんだ……