永音 泉

ん……

目が覚めると、そこにはトモがいた

永音 泉

トモ…?あれ?もう、お昼…?

上条 智也

…おん

あぁ、寝過ごした。
トモはなんか機嫌悪そうだし。絶対朱里ちゃん余計なこと言ったじゃん。

上条 智也

熱は…、その様子じゃあ、帰ってから測ってないな…、体温計とってくるな

永音 泉

自分で、行く…

上条 智也

何言ってんの、おとなしく寝てろ

永音 泉

うぬん…

起き上がろうとしたら軽く肩を押され、ベッドの中に戻されてしまった。

永音 泉

ともー……

上条 智也

ん~、なに~?

永音 泉

わ、帰ってくるの早いよ

上条 智也

いや、そことそこだからな?
熱で頭おかしくなった?

永音 泉

そんなわけないし!

上条 智也

わかったわかった、ほら、熱測って?それと飲み物もちゃんと飲む!

永音 泉

はーい

スポドリと体温計を渡され大人しくトモの言うとおりにする。
まだ春先なのに冷たいスポドリが美味しく感じるから、相当ひどいんだろうなぁ、と他人事のように感じる。
そうこうしているうちに体温計からピピッと音が鳴った

上条 智也

39度2分か……、熱は上がってる?

永音 泉

……うん

上条 智也

分かった
晩飯、おかゆなら食えそうか?

永音 泉

いつもよりは食べられないと思うけど……

上条 智也

了解
ここの棚なら手が届くから、スポドリ、置いておくな

永音 泉

……ありがと

上条 智也

気にすんな、じゃあ、学校戻るな

永音 泉

……うん

いつまでたっても、『寂しい』の一言が言えない私は、ずっとこのままなんだろうか。熱が出てると思考がどんどんと後ろ向きになる。

上条 智也

…そんな顔すんなよ、あと二時間もしたら帰ってくるって

よっぽどひどい顔をしていたのか、トモが優しく頭を撫でてくれる。

上条 智也

……行ってきます

永音 泉

……行ってらっしゃい

上条 智也

トモは部屋のドアを閉めて、学園へ戻って行ってしまった。
部屋はまた、静かになる。

永音 泉

……うぅ

いつもこうだ、肝心な時に肝心なことが言えない。
昔からそうだった。

永音 泉

ほんとうは、ひとりは、いやなんだ

永音 泉

…やだ、ひとりは、ごめんだ……

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