京谷 朱里

え~、高等部一年上条智也君、至急保健室までお願いします

上条 智也

はい?

とても至急そうには思えない放送に、疑問を覚えながらも保健室へ足を運ぶ。

上条 智也

別に何かやらかした覚えもないし、書類の不備もないはずなんだけどなぁ

上条 智也

失礼します。上条です

京谷 朱里

おぉ、来た来た。泉から連絡はあったかい?

上条 智也

…ないですけど

何でこの人は、会うたび会うたび、泉の事を聞いてくるんだろうか

京谷 朱里

そんな怖い顔すんなよ~。…そっか、しなかったかアイツ

上条 智也

あの、用件は

京谷 朱里

あぁ、それね
泉なら熱が出ていたから家に帰したよ

上条 智也

えっ

さらりと爆弾を落とされる。
いや、この人保健医なんだから知ってて当然なんだろうけど。

上条 智也

…連絡ぐらいしろよ、泉

京谷 朱里

……あいつの昔話は知ってるかい?

上条 智也

はい、本人からじゃないですけど

京谷 朱里

今回もそれが原因
あ、あと単純に迷惑かけたくないんだろうね

上条 智也

…っ、なんでそんな…!

京谷 朱里

知ってるかって?これでもあの子のおねぇちゃんその15くらいだからさ、あの子は私の幼馴染の可愛い妹だからね

上条 智也

…そう、なんですか

京谷 朱里

早く行ってあげなよ。あの子をもう、一人にしないでおくれ

思わず、朱里先生の顔を見る。
何を考えているかは、わからなかった。

上条 智也

…もちろんです

俺が保健室を出ようとしたところで、朱里先生の小さなつぶやきが聞こえたような気がした

京谷 朱里

……

京谷 朱里

ははっ、そういうとこ、君のお兄さんそっくりだ。……期待しているよ、上条君

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