ーーモーヌスーン・林道

ウオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

アルマ

はっ・・・はっ・・・
シープラさんっ・・・まだ走れますか!?

シープラ

はっ・・・はぁっ・・・ちょ、っと辛・・・あっ・・・!!

飛び出ていた根っこに躓き、シープラさんが転んでしまった・・・!その隙を狙い、ケルブルが飛びかかってきた!!

アルマ

ファントムショット!!

ウオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

アルマ

シープラさん、大丈夫ですか!!

シープラ

アルマくん後ろ!!

アルマ

ッ、しまっ・・・!!

一体は気絶させられたが、他の一体が後ろに回り込んでいた・・・!僕はシープラさんを片手で抱え、横に飛ぶ・・・!!

アルマ

く、う・・・!!

シープラ

アルマくん!!

完全に避けることは難しく、爪で右肩を抉られてしまった・・・これじゃ、ボウガンを撃つのはちょっと難しいな・・・

シープラ

アルマくん・・・血、血が・・・!!

アルマ

大丈夫、です・・・!このくらい・・・!

あまり大丈夫ではないけど・・・でも、心配かけさせるわけにはいかない・・・!
左腕を構え、辺りを確認する・・・倒れた奴を含めて、六体。完全に囲まれていて、戦いは避けられなそうだ・・・魔力は持つかな・・・?

アルマ

シープラさん、今から、なんとかして隙を作ります・・・僕が合図をしたら、すぐに逃げてください。

シープラ

ふえぇ・・・?あ、アルマくんはぁ・・・?

アルマ

僕は大丈夫ですよ・・・天族は、そう簡単に死にませんから・・・

シープラ

で、でもぉ・・・!

アルマ

できるだけ、僕から離れないでください

感覚を研ぎ澄まし、飛びかかってきたケルブルから確実に仕留めていく・・・それでも、出血の影響か、視界が霞み狙いがずれることがある・・・残り三体になったところで、急に意識が遠のき、その場に膝をついてしまったーー。

シープラ

アルマくん!!

アルマ

は・・・は・・・

アルマ

ダメだ・・・力が入らない・・・まだ、シープラさんを逃がせてないのに・・・このままじゃ・・・!

魔力も底をつき、体力任せになっている・・・でももう、僕にそんな力、残ってない・・・

アルマ

・・・・・守らなきゃ・・・

そう・・・守らなきゃ・・・あの時みたいに、なりたくない・・・!!

アルマ

・・・・・あ、れ・・・?

あの、とき・・・?あの時って・・・・・・

アルマ!!アルマ!!!

お願い!いやよ・・・いや・・・!!
もうやめて・・・!!

このままじゃ、アルマ・・・アルマがぁ・・・ッ!!

アルマは悪くない!!死ぬのは、死ぬのは私だけで・・・!!

アルマ

ッ!!!ぁ・・・いやだ・・・!!!

シープラ

アルマくん・・・?

アルマ

いやだ・・・いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない!!!!!!!!

シープラ

あ、アルマくん・・・!アルマくん!!しっかりしてアルマくん!!!

いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ死にたくない死にたくない死にたくないだってそんな僕は何も悪くないどうして痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い遺体遺体そう遺体転がってるごろごろあるいっぱいある首足腕胴臓器ぜんぶそうぜんぶそうそうそうそうそうそうなんだみんなこうなるみんなぐちゃぐちゃになるきえていくみんなみんなみんなみんなみんなすごく痛い吹っ飛んで消えてくあははははははははっはははははっははっははははははっはははっははははっははははははっはああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ・・・・・・・・・・・・

アルマ

・・・・・・・たすけて・・・しるふ・・・

死ぬのは、怖い

俺が、お前を助けないわけないだろ、アルマ

アルマ

・・・・・・・・・あ・・・

シルフ

風水同調魔法・スプラソニック!!

ウオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

シルフ

呪詛魔法・レイヴンシザー!!

ウオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

シルフ

これで・・・最後!!

ウオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

シルフ

アルマ!!!

ネプト

うっへー・・・すげえなマジナイト・・・俺の出る幕なかったぜ・・・

シープラ

シルフくん・・・ネプトさん・・・!!あ、アルマくんが・・・アルマくんがぁ・・・!!

シルフ

アルマ・・・!遅くなってごめん・・・すぐ良くしてやるからな・・・

シルフ

治療魔法・ケアーケルト

アルマ

う・・・あ・・・しる、ふ・・・

シルフ

アルマ・・・!良かった・・・良かった無事で・・・!!

アルマ

シルフ・・・僕・・・僕・・・

シルフ

大丈夫・・・怖かったな。大丈夫だ・・・これからはずっと一緒にいるから・・・

アルマ

・・・・・・シルフ・・・

ネプト

うお!?お、おいおい大丈夫かよ!?

シルフ

大丈夫、気を失ってるだけ・・・村に戻ろう。

シープラ

ううう・・・わ、私のせいですぅ・・・私がぁ、ベリーを採りに行きたいなんて言ったからぁ・・・

シルフ

シープラさんのせいじゃないですよ。寧ろ感謝してるくらいです。

シープラ

ふ、ふええ・・・?

ネプト

・・・・・・・・・・・

ルフ

シープラ!!

シープラ

!!

ネプト

あれっ?ルフ??

シルフ

心配になって来ちゃったのかな?

アルト

ネプト、シルフ!良かった、二人とも見つかったんだ・・・

アルト

って、アルマ!?どうしたんだ!?

ルナ

怪我でもしてるの?だったらすぐに・・・!

シルフ

いや、大丈夫。もう治療魔法かけたから。

ルナ

あら、そうなの・・・?

ルナ

シルフ、アンタもヒーラーなのね!助かったわ、ありがとう!

シルフ

ううん、ちがうよ。俺はマジナイト。

ルナ

へ~、マジナイトかぁ。さすが、騎士って言われるだけ・・・

ルナ

ってえええええええ!?マジナイトおおおおお!?

アルト

・・・・・・?

ネプト

ま、事情説明なんて野暮なことは後々。

ネプト

ここは静かに見守ろうぜ。

ルナ

え、ええ・・・そうね・・・?

ルフ

シープラ・・・お前、今までどこ行ってたんだよ・・・

ルフ

し、心配・・・したんだぞ・・・

シープラ

ふええ・・・ルフくん・・・ごめんなさぁい・・・

ルフ

いつまで経っても来ねえし、こんな森の深部にいるし、モンスターの死骸あるし・・・本当に・・・バカなのか・・・お前は・・・!

シープラ

ごめんなさいぃ・・・!わ、私・・・私ぃ・・・!

ルフ

・・・ほんとに・・・

シープラ

・・・へ・・・?

ルフ

心配・・・させやがって・・・!

シープラ

る、ルフくん・・・?どうしてぇ・・・?

ルフ

・・・・・・・・・・・・

ルフ

・・・・・・・すきだ

シープラ

・・・・・・す、き・・・?

ルフ

ッ~~~~~!!!何回も言わせるなバカ!!!

ルフ

お前が好きだ!!俺の・・・婚約者になれ!!

シープラ

・・・・・・う、嘘・・・だ、だってぇ・・私ぃ・・・のろまでドジでぇ、ルフくん、嫌いだってぇ・・・!

ルフ

あ、あれは・・・!!そ、その・・・

ルフ

全部、嘘だ・・・

シープラ

ふえぇ・・・?

ルフ

俺はっ・・・その、う、嘘つきなんだ!!お前の前に出ると・・・は、ずかしくて・・・その・・・だから・・・

ルフ

あれは・・・全部、反対の意味として、捉えてほしかった・・・というか、なんというか・・・その・・・

シープラ

・・・・・・今も、嘘つきさんですかぁ・・・?

ルフ

い、今は違う!!今は・・・これからも・・・

ルフ

正直者に・・・なれるように、がんばる、から・・・だ、だから・・・!!

ルフ

俺と、この村を・・・モーヌスーンを、守ってほしい

シープラ

・・・・・・・・・

シープラ

・・・・・・はい・・・!

ーーモーヌスーン・占い館

ニャルラ

おー、お帰り。ノーツモニュメントは無事に見つかったかい?

無事に二人を結びつけた俺たちは、約束通りニャルラさんからノーツモニュメントの場所を教えてもらえた。そして今は、無事に音を回収し終えて占い館に戻ってきたところだ。

アルト

はい、おかげさまで・・・

アルト

それで・・・その、アルマは・・・?

俺が聞くと、ニャルラさんは首を横に振ったーー。

昨日倒れてから、一向にアルマの意識が戻らない。シルフがつきっきりで看病しているが、意識を取り戻す予兆もない状態だ・・・。

ルナ

このまま死んじゃったりしないよね・・・?大丈夫よね・・・?

アルト

だ、大丈夫だよ・・・シルフも言ってたじゃん・・・そうだよな?ネプト・・・?

ネプト

・・・・・・ああ。心配ねえと思うぜ

ニャルラ

占いで悪い結果は出てないが・・・さすがにここまで長いと心配だな・・・

ニャルラ

そだ、あんたら、次はトワイライトに向かうんだったっけか?

ルナ

ええ、そのつもりよ

ニャルラ

そっか、ならちょうど良いんじゃないのか?あそこは医療もそこそこ発達してるみたいだし・・・心配なら診てもらうといい。

ネプト

でも、あそこまでは徒歩で一週間はかかる・・・さすがに遅いと思うぜ?

ルフ

その心配はいらない。

声に振り向くと、そこにはルフさんとシープラさんが立っていた。いつの間に・・・!

ルフ

いろいろと世話になったしな・・・余計なお世話かもしれないが、馬車を手配させてもらおうかと思って・・・

シープラ

モーヌスーンの馬車はぁ、乗り心地抜群ですよぉ!馬車酔いしちゃう人がぁ、何事もなく現地に到着できちゃうくらいぃ、揺れないんですぅ!

ルフ

アルマのこともあるし・・・出発は早いほうがいいと思ったんだが・・・どうだ?

アルト

え・・・で、でもそんな・・・!馬車の手配ってなんか高そうだし・・・

ニャルラ

そんなことはないさ。しかも、こいつは村長の跡取り息子だよ?こんなことへでもないさ

ルナ

アルト、せっかくこう言ってくれてるんだから、お言葉に甘えましょう!

ネプト

本当は馬車に乗ってみたいだけだったり・・・

ルナ

そっ、そんなことないわよ!!きっとトミーだって乗りたがってるわ!!

アルト

あ、あはは・・・じゃあ、お願いしちゃおうか。

ルフ

ああ、任せてくれ。

ルフ

っつても、今からいきなりってのはさすがに無理だから・・・明日になっても問題ないか?

アルト

はい!大丈夫です!!

ニャルラ

それじゃ、今日はゆっくり観光でも楽しんでってよ。夜は心配しなくても、ちゃんと泊めてやるからさ。

アルト

ありがとうございます!!

ルナ

よーっし!それじゃあ、あたしは一通り村を飛んでくるわ!ここに来れば誰かしらいるし、迷うことだってないもんね♪

ネプト

そーだな

ネプト

んじゃ、俺もちょっくら村回ってくるわ。アルトも、自由に回ってきな

アルト

うん!

二人が館から出ると、ルフさんたちは早速御者さんに話をつけに行き、ニャルラさんも仕事に戻っていった・・・俺は何しようかな・・・

アルト

そういえば・・・シルフ、ずっとアルマについてるんだよね・・・?ちゃんと寝てるのかな?

寝室にこもりきりの二人が心配になり、俺は寝室へ足を向けたーー。

アルト

シルフ・・・?起きてる・・・?

シルフ

ん?・・・ああ、アルトか。どうかした?

アルト

ああ・・・いや、ちゃんと寝てるのかなって思って・・・よかったら、看病代わるよ?

シルフ

俺は大丈夫。睡眠なんて、三日に一度摂れば良いんだ。

シルフ

今はそんなことより・・・アルマの方が心配だから・・・。

アルト

そ・・・そっか・・・

シルフ

・・・・・・・・・・・・・

アルト

・・・・・・・・・・・・・

シルフ

ねえ、アルト。ちょっと聞いてもいい?

アルト

ん?なんだ?

シルフ

アルマのこと、好き?

アルト

へ?うん。好きだよ。

アルト

あ、いや、友達としてって意味でな!!やましいことは決して考えてないよ!!

シルフ

ふうん・・・友達として・・・ね。
・・・・・・じゃあさ、

シルフ

スコアホルダーの旅で、もしアルマを犠牲にしなきゃいけなくなったら・・・どうする?

アルト

・・・え・・・?

シルフ

君は・・・願いを諦めて、旅を放棄することができる?

アルト

そ・・・それは・・・

アルト

・・・・・・・・・わからない・・・できない・・・かも・・・

シルフ

・・・・・・そう。

シルフ

・・・よかった

アルト

え・・・?

シルフ

もし、君が今ここで「できる」って答えたら・・・

シルフ

この場で君のこと、殺してたと思う。

アルト

!!!??

シルフ

人間はそれでいい。それでいいんだ・・・いや、違うな・・・

シルフ

それしか道がないんだ

アルト

・・・・・・・・・・・・

シルフ

ああ、別に脅かすつもりはなかったんだ。ごめん。ただね・・・俺は、回りくどいのも、騙されるのも嫌いなんだ。

シルフ

俺はすなおが好き。だから・・・アルトも、俺の前ではすなおでいてほしい

アルト

・・・・・・うん・・・

シルフ

やくそくだよ。破ったら・・・

アルト

・・・・・・・・・・・・・・・・・

シルフ

くふふ、なんて、な。

アルト

へ・・・?

シルフ

あはははは!!やっぱからかい甲斐があるなぁ、アルトは!!あはははは!!!

アルト

な・・・なんだ・・・もうやめろよ・・・すっげー冷や冷やしたんだぞ!!

シルフ

にひひー、ごめんて!!

シルフ

魔族の「ウソ」には、騙されちゃダメだぜ・・・スコアホルダーさん?

第五楽章
アルマ、戸惑う    Fin

せぇのっ!!

次回予告ッッッ!!

次なる国「トワイライト」に到着したアルト一行。そこは、10年前に攫われた姫の誕生祭で盛り上がる活気ある国だった!!

祭を楽しむさなか、なにやら不穏な動きを見せるネプト・・・そして、攫われた姫にあこがれを抱く少年の真意とは・・・!?

ルナ

ふざけたかったけど、ネタが思い浮かばなかったそうよ。

ネプト

全くしっかりしてくれよなぁ・・・エンディング考え終わって嬉々としてるのはいいんだけどよぉ・・・

シルフ

なんとこの物語、マルチエンドになるらしいぜ!分岐は一点のみの簡単選択式になるらしいから、期待して待っててくれ!!

アルマ

隠しエンドも考えてるって!普通に読んだだけじゃ見つからないようにするらしいから、みんな頑張ってね!!

アルト

ハードルをガンガン上げて作者の胃痛を加速させるスタイルですねわかります。

俺は胃痛なんかに屈しない・・・!果たして、作者の胃はプレッシャーに耐えられるのか!?

次回
「ネプト、還り咲く」
こうご期待!!

アルト

次回の展開はかなり早くなりそうだなぁ・・・

第五楽章 アルマ、戸惑う 4

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