ーーモーヌスーン・林道
ーーモーヌスーン・林道
ウオオオオオオオオオオオオオオオ!!!
はっ・・・はっ・・・
シープラさんっ・・・まだ走れますか!?
はっ・・・はぁっ・・・ちょ、っと辛・・・あっ・・・!!
飛び出ていた根っこに躓き、シープラさんが転んでしまった・・・!その隙を狙い、ケルブルが飛びかかってきた!!
ファントムショット!!
ウオオオオオオオオオオオオオオオ!!!
シープラさん、大丈夫ですか!!
アルマくん後ろ!!
ッ、しまっ・・・!!
一体は気絶させられたが、他の一体が後ろに回り込んでいた・・・!僕はシープラさんを片手で抱え、横に飛ぶ・・・!!
く、う・・・!!
アルマくん!!
完全に避けることは難しく、爪で右肩を抉られてしまった・・・これじゃ、ボウガンを撃つのはちょっと難しいな・・・
アルマくん・・・血、血が・・・!!
大丈夫、です・・・!このくらい・・・!
あまり大丈夫ではないけど・・・でも、心配かけさせるわけにはいかない・・・!
左腕を構え、辺りを確認する・・・倒れた奴を含めて、六体。完全に囲まれていて、戦いは避けられなそうだ・・・魔力は持つかな・・・?
シープラさん、今から、なんとかして隙を作ります・・・僕が合図をしたら、すぐに逃げてください。
ふえぇ・・・?あ、アルマくんはぁ・・・?
僕は大丈夫ですよ・・・天族は、そう簡単に死にませんから・・・
で、でもぉ・・・!
できるだけ、僕から離れないでください
感覚を研ぎ澄まし、飛びかかってきたケルブルから確実に仕留めていく・・・それでも、出血の影響か、視界が霞み狙いがずれることがある・・・残り三体になったところで、急に意識が遠のき、その場に膝をついてしまったーー。
アルマくん!!
は・・・は・・・
ダメだ・・・力が入らない・・・まだ、シープラさんを逃がせてないのに・・・このままじゃ・・・!
魔力も底をつき、体力任せになっている・・・でももう、僕にそんな力、残ってない・・・
・・・・・守らなきゃ・・・
そう・・・守らなきゃ・・・あの時みたいに、なりたくない・・・!!
・・・・・あ、れ・・・?
あの、とき・・・?あの時って・・・・・・
アルマ!!アルマ!!!
お願い!いやよ・・・いや・・・!!
もうやめて・・・!!
このままじゃ、アルマ・・・アルマがぁ・・・ッ!!
アルマは悪くない!!死ぬのは、死ぬのは私だけで・・・!!
ッ!!!ぁ・・・いやだ・・・!!!
アルマくん・・・?
いやだ・・・いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない!!!!!!!!
あ、アルマくん・・・!アルマくん!!しっかりしてアルマくん!!!
いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ死にたくない死にたくない死にたくないだってそんな僕は何も悪くないどうして痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い遺体遺体そう遺体転がってるごろごろあるいっぱいある首足腕胴臓器ぜんぶそうぜんぶそうそうそうそうそうそうなんだみんなこうなるみんなぐちゃぐちゃになるきえていくみんなみんなみんなみんなみんなすごく痛い吹っ飛んで消えてくあははははははははっはははははっははっははははははっはははっははははっははははははっはああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・たすけて・・・しるふ・・・
死ぬのは、怖い
俺が、お前を助けないわけないだろ、アルマ
・・・・・・・・・あ・・・
風水同調魔法・スプラソニック!!
ウオオオオオオオオオオオオオオオ!!!
呪詛魔法・レイヴンシザー!!
ウオオオオオオオオオオオオオオオ!!!
これで・・・最後!!
ウオオオオオオオオオオオオオオオ!!!
アルマ!!!
うっへー・・・すげえなマジナイト・・・俺の出る幕なかったぜ・・・
シルフくん・・・ネプトさん・・・!!あ、アルマくんが・・・アルマくんがぁ・・・!!
アルマ・・・!遅くなってごめん・・・すぐ良くしてやるからな・・・
治療魔法・ケアーケルト
う・・・あ・・・しる、ふ・・・
アルマ・・・!良かった・・・良かった無事で・・・!!
シルフ・・・僕・・・僕・・・
大丈夫・・・怖かったな。大丈夫だ・・・これからはずっと一緒にいるから・・・
・・・・・・シルフ・・・
うお!?お、おいおい大丈夫かよ!?
大丈夫、気を失ってるだけ・・・村に戻ろう。
ううう・・・わ、私のせいですぅ・・・私がぁ、ベリーを採りに行きたいなんて言ったからぁ・・・
シープラさんのせいじゃないですよ。寧ろ感謝してるくらいです。
ふ、ふええ・・・?
・・・・・・・・・・・
シープラ!!
!!
あれっ?ルフ??
心配になって来ちゃったのかな?
ネプト、シルフ!良かった、二人とも見つかったんだ・・・
って、アルマ!?どうしたんだ!?
怪我でもしてるの?だったらすぐに・・・!
いや、大丈夫。もう治療魔法かけたから。
あら、そうなの・・・?
シルフ、アンタもヒーラーなのね!助かったわ、ありがとう!
ううん、ちがうよ。俺はマジナイト。
へ~、マジナイトかぁ。さすが、騎士って言われるだけ・・・
ってえええええええ!?マジナイトおおおおお!?
・・・・・・?
ま、事情説明なんて野暮なことは後々。
ここは静かに見守ろうぜ。
え、ええ・・・そうね・・・?
シープラ・・・お前、今までどこ行ってたんだよ・・・
し、心配・・・したんだぞ・・・
ふええ・・・ルフくん・・・ごめんなさぁい・・・
いつまで経っても来ねえし、こんな森の深部にいるし、モンスターの死骸あるし・・・本当に・・・バカなのか・・・お前は・・・!
ごめんなさいぃ・・・!わ、私・・・私ぃ・・・!
・・・ほんとに・・・
・・・へ・・・?
心配・・・させやがって・・・!
る、ルフくん・・・?どうしてぇ・・・?
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・すきだ
・・・・・・す、き・・・?
ッ~~~~~!!!何回も言わせるなバカ!!!
お前が好きだ!!俺の・・・婚約者になれ!!
・・・・・・う、嘘・・・だ、だってぇ・・私ぃ・・・のろまでドジでぇ、ルフくん、嫌いだってぇ・・・!
あ、あれは・・・!!そ、その・・・
全部、嘘だ・・・
ふえぇ・・・?
俺はっ・・・その、う、嘘つきなんだ!!お前の前に出ると・・・は、ずかしくて・・・その・・・だから・・・
あれは・・・全部、反対の意味として、捉えてほしかった・・・というか、なんというか・・・その・・・
・・・・・・今も、嘘つきさんですかぁ・・・?
い、今は違う!!今は・・・これからも・・・
正直者に・・・なれるように、がんばる、から・・・だ、だから・・・!!
俺と、この村を・・・モーヌスーンを、守ってほしい
・・・・・・・・・
・・・・・・はい・・・!
ーーモーヌスーン・占い館
おー、お帰り。ノーツモニュメントは無事に見つかったかい?
無事に二人を結びつけた俺たちは、約束通りニャルラさんからノーツモニュメントの場所を教えてもらえた。そして今は、無事に音を回収し終えて占い館に戻ってきたところだ。
はい、おかげさまで・・・
それで・・・その、アルマは・・・?
俺が聞くと、ニャルラさんは首を横に振ったーー。
昨日倒れてから、一向にアルマの意識が戻らない。シルフがつきっきりで看病しているが、意識を取り戻す予兆もない状態だ・・・。
このまま死んじゃったりしないよね・・・?大丈夫よね・・・?
だ、大丈夫だよ・・・シルフも言ってたじゃん・・・そうだよな?ネプト・・・?
・・・・・・ああ。心配ねえと思うぜ
占いで悪い結果は出てないが・・・さすがにここまで長いと心配だな・・・
そだ、あんたら、次はトワイライトに向かうんだったっけか?
ええ、そのつもりよ
そっか、ならちょうど良いんじゃないのか?あそこは医療もそこそこ発達してるみたいだし・・・心配なら診てもらうといい。
でも、あそこまでは徒歩で一週間はかかる・・・さすがに遅いと思うぜ?
その心配はいらない。
声に振り向くと、そこにはルフさんとシープラさんが立っていた。いつの間に・・・!
いろいろと世話になったしな・・・余計なお世話かもしれないが、馬車を手配させてもらおうかと思って・・・
モーヌスーンの馬車はぁ、乗り心地抜群ですよぉ!馬車酔いしちゃう人がぁ、何事もなく現地に到着できちゃうくらいぃ、揺れないんですぅ!
アルマのこともあるし・・・出発は早いほうがいいと思ったんだが・・・どうだ?
え・・・で、でもそんな・・・!馬車の手配ってなんか高そうだし・・・
そんなことはないさ。しかも、こいつは村長の跡取り息子だよ?こんなことへでもないさ
アルト、せっかくこう言ってくれてるんだから、お言葉に甘えましょう!
本当は馬車に乗ってみたいだけだったり・・・
そっ、そんなことないわよ!!きっとトミーだって乗りたがってるわ!!
あ、あはは・・・じゃあ、お願いしちゃおうか。
ああ、任せてくれ。
っつても、今からいきなりってのはさすがに無理だから・・・明日になっても問題ないか?
はい!大丈夫です!!
それじゃ、今日はゆっくり観光でも楽しんでってよ。夜は心配しなくても、ちゃんと泊めてやるからさ。
ありがとうございます!!
よーっし!それじゃあ、あたしは一通り村を飛んでくるわ!ここに来れば誰かしらいるし、迷うことだってないもんね♪
そーだな
んじゃ、俺もちょっくら村回ってくるわ。アルトも、自由に回ってきな
うん!
二人が館から出ると、ルフさんたちは早速御者さんに話をつけに行き、ニャルラさんも仕事に戻っていった・・・俺は何しようかな・・・
そういえば・・・シルフ、ずっとアルマについてるんだよね・・・?ちゃんと寝てるのかな?
寝室にこもりきりの二人が心配になり、俺は寝室へ足を向けたーー。
シルフ・・・?起きてる・・・?
ん?・・・ああ、アルトか。どうかした?
ああ・・・いや、ちゃんと寝てるのかなって思って・・・よかったら、看病代わるよ?
俺は大丈夫。睡眠なんて、三日に一度摂れば良いんだ。
今はそんなことより・・・アルマの方が心配だから・・・。
そ・・・そっか・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
ねえ、アルト。ちょっと聞いてもいい?
ん?なんだ?
アルマのこと、好き?
へ?うん。好きだよ。
あ、いや、友達としてって意味でな!!やましいことは決して考えてないよ!!
ふうん・・・友達として・・・ね。
・・・・・・じゃあさ、
スコアホルダーの旅で、もしアルマを犠牲にしなきゃいけなくなったら・・・どうする?
・・・え・・・?
君は・・・願いを諦めて、旅を放棄することができる?
そ・・・それは・・・
・・・・・・・・・わからない・・・できない・・・かも・・・
・・・・・・そう。
・・・よかった
え・・・?
もし、君が今ここで「できる」って答えたら・・・
この場で君のこと、殺してたと思う。
!!!??
人間はそれでいい。それでいいんだ・・・いや、違うな・・・
それしか道がないんだ
・・・・・・・・・・・・
ああ、別に脅かすつもりはなかったんだ。ごめん。ただね・・・俺は、回りくどいのも、騙されるのも嫌いなんだ。
俺はすなおが好き。だから・・・アルトも、俺の前ではすなおでいてほしい
・・・・・・うん・・・
やくそくだよ。破ったら・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
くふふ、なんて、な。
へ・・・?
あはははは!!やっぱからかい甲斐があるなぁ、アルトは!!あはははは!!!
な・・・なんだ・・・もうやめろよ・・・すっげー冷や冷やしたんだぞ!!
にひひー、ごめんて!!
魔族の「ウソ」には、騙されちゃダメだぜ・・・スコアホルダーさん?
第五楽章
アルマ、戸惑う Fin
せぇのっ!!
次回予告ッッッ!!
次なる国「トワイライト」に到着したアルト一行。そこは、10年前に攫われた姫の誕生祭で盛り上がる活気ある国だった!!
祭を楽しむさなか、なにやら不穏な動きを見せるネプト・・・そして、攫われた姫にあこがれを抱く少年の真意とは・・・!?
ふざけたかったけど、ネタが思い浮かばなかったそうよ。
全くしっかりしてくれよなぁ・・・エンディング考え終わって嬉々としてるのはいいんだけどよぉ・・・
なんとこの物語、マルチエンドになるらしいぜ!分岐は一点のみの簡単選択式になるらしいから、期待して待っててくれ!!
隠しエンドも考えてるって!普通に読んだだけじゃ見つからないようにするらしいから、みんな頑張ってね!!
ハードルをガンガン上げて作者の胃痛を加速させるスタイルですねわかります。
俺は胃痛なんかに屈しない・・・!果たして、作者の胃はプレッシャーに耐えられるのか!?
次回
「ネプト、還り咲く」
こうご期待!!
次回の展開はかなり早くなりそうだなぁ・・・