第3話後編
母さんから羊があんたのところに行ったって聞いて驚いたわ
どうして驚かれるのです!
あなたやたら高級な食材ばかり買って、家の料理長に毎日のように怒られてたじゃない
へぇ
家でもそんなことやってたんだ
最終的には包丁が飛ぶほど料理長を怒らせていたわよね
へ、へぇ
それはすごいな
ごごごご誤解ですぞ坊ちゃん!
メーの欲しいもののちょっと値段が高かっただけで
この家でも同じことをやっていないか、調査に来たのよ
あー
もうとっくに…
羊さんに後ろから口を押さえられる。
だだだだ断じてそんなことはしておりませんっ!
ご家族にもよろしくお伝えください!
本当?
ホントですぞ!
ねぇ、坊ちゃん
羊さんに揺さ振られて、首が上下に動く。
いや、別に頷いているわけじゃないんですけど…
まぁいいわ
今日はここにいるから、それで判断しましょう
はぁ?
はいぃぃぃぃぃ!?
って何で羊さんが僕以上に嫌がっているんだよ。
羊さんと姉ちゃんの間に何があったんだ?
面白いことになりそうね
ボク、頭が痛い。
その日の夜。
夕食はハンバーグだった。
いいいいいかがでしょうか?
羊さんはびくびくしながら姉ちゃんに聞いている。
羊さんも一緒に食べればいいのに、なぜかそれは出来ないようだ。
僕と2人のときは一緒に食べるのに。
30点ね
え?
すんごいおいしいよ
味じゃないわ
羊の態度よ
どどどどどこがお気に召さないので?
そのおどおどしたところよ
姉ちゃんに指差されて、羊さんは直立に固まった。
あーあ。
で?
材料費はいくら?
あ、材料は僕が買ってきたから
アンタには聞いてないわ!
おおおおお坊ちゃんが選んだ材料でして、わわわわわたくしめは存じておりません
自分が使っている食材の値段くらい知っておくべきだわ!
まぁまぁ
僕が買ってきたんだから、いいだろ?
アンタには聞いていない!
大体、ご主人様に買出しにいかせるなんてどうなの?
一緒に行くこともあるのですが、いかんせん学校帰りにお坊ちゃんが買ってきてくださるので
まぁ、食材を無駄にして欲しくないしね
なんて情けない羊なの!
姉ちゃんはズバズバと言いたい放題言っている。
あーあ。
羊さんがどんどん小さくなっていくよ……
今日あったことは母さんには報告させてもらうから
おおおおお手柔らかに~
あーあ。
姉ちゃんは言いたい放題言って颯爽と帰っていった。
もしかしたら羊さんのご飯食べにきただけじゃないのか?
羊さんはと言うと…
おぉ神よ、我らの明日をお救いください
羊さんは涙目で何か祈り始めたし……
まぁまぁ羊さん
姉ちゃん帰ったしさ、ご飯食べよう
第4話へ