私と彼と彼女は同じ職場で働いている。同じ職場なんだから、当然顔を合わせる回数だって多い。
私と彼と彼女は同じ職場で働いている。同じ職場なんだから、当然顔を合わせる回数だって多い。
先に言っておくと、この職場はブラックだ。三人しかいないのに、いや、三人しかいないからこそだろうか。
二十四時間三百六十五日私たちは働き続けている。ぅ土器が止まれば、手を休めれば、「使えない」と捨てられてしまうだろう。
だから余計に、私は何度も彼や彼女と顔を合わせる。と言っても、忙し過ぎて談笑する暇もない。ただ後ろから迫って、通り過ぎざまに挨拶をするくらいだ。
私たちは一日に同じ仕事を二回行う。まったく同じ仕事をだ。そしてそれを毎日繰り返す。終わらない地獄だ。無限ループだ。
私は一回仕事を終える間に、彼と彼女に七百二十回ほども出会う。本当に、この仕事はうんざりするよ。
僕と彼女とあの人は同じ職場で働いている。一日に全く同じ仕事を二回。それを毎日だ。
それでも僕は、あの人に比べたら少しばかり楽かもしれない。あの人は上司だから、僕たちの分まで働いてくれている。
僕はあの人と一回の仕事が終わるまでに約七百二十回も出会う。その全部が、あの人から声をかけてくれるんだから、最高の上司に違いない。
だけど彼女とは、一日に二十二回しか出会わないんだ。あの人とは雲泥の差だろう?
私とあの人と彼は同じ職場で働いています。毎日同じ仕事をきっちり二回。ということはつまり、半日かけてやっと仕事を一回終えるんです。
けれども、あの人と彼は新人の私に比べ、何倍も何十倍も忙しく働いています。申し訳ないとも思うんですけれど、それが私たちに与えられた仕事ですので。
一番忙しいあの人は、職場内をせわしなく駆け回っているので、私と七百二十回くらいすれ違います。そのたびに後ろから声をかけてくれるので、本当に尊敬しているんです。
彼とすれ違うのは二十二回ほどでしょうか? 彼もまたすれ違う時に後ろから声をかけてくれので、大変感謝しています。
そんな彼らの前に、着物をはだけた一人の処女がやって来る。彼女は彼らをしばらく眺め、諭すように問いかけた。
「あなた達は『 』
なんだけれど、
ちゃんと理解している?」
少女は満足したように、それを手に取り電池を抜いた。途端に、絶えず動き続けていた彼らの動きが同時に止まる。
気付けば少女の姿はなかった。
残されたのは、無限のループから解放された、役目を終えた、あの人と彼と彼女。
——ふふ。彼ら、一体
どんな仕事をして
いたんだと思う?