すごい、
顔が浮かんでる
それ、マネキンを持っているだけだよ。
こっち見て、白い手があるよ。
木の枝だろ
なななんですって、写真って心霊写真?
へぇ
私はダメ、ダメです。ごめんなさい
あら、まぁ。
逃げちゃったね、クルミさん。
この写真って、このホテルだよね
うん、前に仲間たちと来たんだよ
あれ? リンコさんがいる
ああ、リンコとも知り合いでね。今回は偶然だったけど、この時は一緒だったんだよ
みんな、笑顔だね
うん
……カカオさんって、霊に興味があるの?
そういうわけじゃないえど、何か?
僕の部屋に【何】かが居る気がするんだよ。交換してもらえないかな
………ちょっと。見て来る
………
おう、禍々しい気配がある。これは交換して貰わないとね。きっと彼もボクに撮って欲しいんだよ
………
ありがとう
さて、監視カメラの電源を入れよう
監視カメラに電源が入った。
これは橘くんに預けておいたもの。
橘くんの部屋にカカオが入ったら押すように頼んでおいた。
これで、宿泊している全ての客室に監視カメラが設置されたことになるな。
これで、カカオの様子が………っ
あいつの背が低いからだろうか、何も映っていない
そして、こっちは……………………
そんな写真で生活できると思っているの?
そ、それは……まだ、わかりません。私は写真を撮るのが好きなだけで
なら、生活できる作品を見せてごらんなさい
作品を
それが、出来ないのなら生きていても仕方ないでしょ
写真を諦めて生きるか。写真を諦めたくないのなら、死ぬ気で良い作品を作りなさい
良い作品
テーマを告げた方が良いのなら。これはどう?
人間の最も美しく儚い瞬間
…………わかりました。
素敵な作品を作ってきます。
あ、クルミさん
え………
ああ、ミントちゃん。ダメだ、これじゃ綺麗じゃない
やっぱりハヤトくんか、アンズちゃんが適任。二人とも生きることに疲れている。きっと、綺麗な死を見せてくれる。まずは、ハヤトくんかな………確か302号室
………
ど、どうして………カカオさんなの?
愚かだね、君も
私は、貴方よりも良い作品を作れる。いつもいつもいつもいつもいつもコンクールで誰よりも上に立っていた、サトウカカオ。突然、姿を消した天才写真家。こんなところに隠れていたなんて
………
アナタを消せば、私が上に立てる。皆が私を認めてくれる
………
?
………
え……………どうして……………
生きていないボクに触れられると思ったの?
何を言っているの? バカにしないで………っっっ
!!!
君はボクを越えられない。ボクはもうボクを越えられない。君はまだ。君を越えられるのに、どうして戯言に耳を貸すんだろうね。ああ、もう落ちちゃったんだね
………
何か言いたそうだね
いや……お前と同じなんだなって思っただけ。お前は俺を素材にしようとしたね
…………………そうだね。だけど、あの時のボクはリンコに止められた。クルミ、次はあんな戯言に耳を貸したら駄目だよ
さて、今回も火を灯そうか………………もう、燃えているみたいだね。彼女も歌っている
燃えろよ、燃えろー♪
今回は、色々収穫できたな。きっと、次で終わりにする。きっと次がお別れなんだよ
熱い、熱いよ
アンズ、僕も一緒だから大丈夫
え?
一人じゃないからね
うん、そうだよね。橘くんと一緒なら、それで良いや
息が苦しい、
だけど………僕はまた目覚めるだろう。
そして、あの人のところに行かなきゃ。
待たせて、ごめんね