滝 ナガレ

すごい、
顔が浮かんでる

橘 ハヤト

それ、マネキンを持っているだけだよ。
こっち見て、白い手があるよ。

滝 ナガレ

木の枝だろ

樹 クルミ

なななんですって、写真って心霊写真?

梓 アンズ

へぇ

樹 クルミ

私はダメ、ダメです。ごめんなさい

滝 ナガレ

あら、まぁ。
逃げちゃったね、クルミさん。

橘 ハヤト

この写真って、このホテルだよね

佐糖 カカオ

うん、前に仲間たちと来たんだよ

梓 アンズ

あれ? リンコさんがいる

佐糖 カカオ

ああ、リンコとも知り合いでね。今回は偶然だったけど、この時は一緒だったんだよ

橘 ハヤト

みんな、笑顔だね

佐糖 カカオ

うん

橘 ハヤト

……カカオさんって、霊に興味があるの?

佐糖 カカオ

そういうわけじゃないえど、何か?

橘 ハヤト

僕の部屋に【何】かが居る気がするんだよ。交換してもらえないかな

佐糖 カカオ

………ちょっと。見て来る

カケル

………

佐糖 カカオ

おう、禍々しい気配がある。これは交換して貰わないとね。きっと彼もボクに撮って欲しいんだよ

カケル

………

橘 ハヤト

ありがとう

橘 ハヤト

さて、監視カメラの電源を入れよう

神田 カナト

監視カメラに電源が入った。

これは橘くんに預けておいたもの。
橘くんの部屋にカカオが入ったら押すように頼んでおいた。
これで、宿泊している全ての客室に監視カメラが設置されたことになるな。

神田 カナト

これで、カカオの様子が………っ

神田 カナト

あいつの背が低いからだろうか、何も映っていない

神田 カナト

そして、こっちは……………………

そんな写真で生活できると思っているの?

樹 クルミ

そ、それは……まだ、わかりません。私は写真を撮るのが好きなだけで

なら、生活できる作品を見せてごらんなさい

樹 クルミ

作品を

それが、出来ないのなら生きていても仕方ないでしょ

写真を諦めて生きるか。写真を諦めたくないのなら、死ぬ気で良い作品を作りなさい

樹 クルミ

良い作品

テーマを告げた方が良いのなら。これはどう?

樹 クルミ

人間の最も美しく儚い瞬間

樹 クルミ

…………わかりました。
素敵な作品を作ってきます。

榊 ミント

あ、クルミさん

榊 ミント

え………

樹 クルミ

ああ、ミントちゃん。ダメだ、これじゃ綺麗じゃない

樹 クルミ

やっぱりハヤトくんか、アンズちゃんが適任。二人とも生きることに疲れている。きっと、綺麗な死を見せてくれる。まずは、ハヤトくんかな………確か302号室

佐糖 カカオ

………

樹 クルミ

ど、どうして………カカオさんなの?

佐糖 カカオ

愚かだね、君も

樹 クルミ

私は、貴方よりも良い作品を作れる。いつもいつもいつもいつもいつもコンクールで誰よりも上に立っていた、サトウカカオ。突然、姿を消した天才写真家。こんなところに隠れていたなんて

佐糖 カカオ

………

樹 クルミ

アナタを消せば、私が上に立てる。皆が私を認めてくれる

佐糖 カカオ

………

樹 クルミ

佐糖 カカオ

………

樹 クルミ

え……………どうして……………

佐糖 カカオ

生きていないボクに触れられると思ったの?

樹 クルミ

何を言っているの? バカにしないで………っっっ

樹 クルミ

!!!

佐糖 カカオ

君はボクを越えられない。ボクはもうボクを越えられない。君はまだ。君を越えられるのに、どうして戯言に耳を貸すんだろうね。ああ、もう落ちちゃったんだね

カケル

………

佐糖 カカオ

何か言いたそうだね

カケル

いや……お前と同じなんだなって思っただけ。お前は俺を素材にしようとしたね

佐糖 カカオ

…………………そうだね。だけど、あの時のボクはリンコに止められた。クルミ、次はあんな戯言に耳を貸したら駄目だよ

佐糖 カカオ

さて、今回も火を灯そうか………………もう、燃えているみたいだね。彼女も歌っている

リンコ

燃えろよ、燃えろー♪

神田 カナト

今回は、色々収穫できたな。きっと、次で終わりにする。きっと次がお別れなんだよ

梓 アンズ

熱い、熱いよ

橘 ハヤト

アンズ、僕も一緒だから大丈夫

梓 アンズ

え?

橘 ハヤト

一人じゃないからね

梓 アンズ

うん、そうだよね。橘くんと一緒なら、それで良いや

橘 ハヤト

息が苦しい、
だけど………僕はまた目覚めるだろう。
そして、あの人のところに行かなきゃ。

橘 ハヤト

待たせて、ごめんね

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