やる気がなさそうに見えてしっかりものの佐島くん。
やる気を出せば結構できる子のアスナちゃん。
はぁ……
勉強しないといけないことは分かるんだけど……
生徒会、心配だなあ
やる気がなさそうに見えてしっかりものの佐島くん。
やる気を出せば結構できる子のアスナちゃん。
信用していないわけじゃない。
なら、このもやもやは……
私が、生徒会の仕事をしたいという単なるエゴだ……
ほんと、駄目な生徒会長だ。
成績落ちているのは事実だし、とにかくやれることをやらないと……
終業のチャイム……もう下校時刻か……
はぁ…………
もやもやするなあ。
外もだいぶ寒くなってきたなあ……
そうですね
さ、佐島くん!?
はい
ど、どうしてここに?
そりゃあ、下校するためでしょう
そ、そっか……
あ、アスナちゃんは?
例の変な後輩に付きまとわれながら去って行きました
真琴ちゃんか……
相変わらずだね……
そうですね……
…………
気まずい
……えっと、じゃあ私帰り道こっちだから……
送りましょうか?
え……?
ええっ!?
なんで? だって私は佐島くんに告白して、それで佐島君は未だに私の告白を保留にしているんだよね? それなのになんで?
なんで!?
季節の変わり目は不審者が出やすいですからね
そうなの?
冗談です
え?
証拠も根拠も全くない、今思いついた冗談です。そんなのに騙されるなんて、鈴石先輩は馬鹿なんですか?
なんだそれ!
その内詐欺にひっかかりますよ
そんなことないし!
ま、鈴石先輩が詐欺に騙されたら僕が笑ってあげます
失礼な!
じゃ、行きますよ
えっ……
待って、私許可してない! 一緒に帰るの許可してないよ……!?
な、なんだろうこの……
この、美味しいけど微妙に喜べないシチュエーション……
こんなの、二次元にあったっけ?
なんだかすっごく胸が痛い
どうかしました?
う、ううん……
ふ、不審者が怖いなあって思っただけ
まだそんな嘘を信じますか
う、うるさい!
ま、大丈夫でしょう。行きますよ
…………うん
何考えているんだろう、この子。
そうだ、僕たちのクラスの出し物ですが
ああ、プラネタリウム……?
是非、鈴石先輩に来てほしくて
え……?
あ、審査としては行くけど……
そうじゃないです
普通に生徒として、来てくださいよ
まあ、いいけど……何で?
……結構自信作になる予定なんで、見てもらいたいだけです
そう……
そ、それは面白そうだね
はい、是非
と、ところで佐島くん
はい
その……
告白の答えはどうなの……?
って、今聞くべき?
いや、なんでもない
ううん、今は急かさず待つべきだ。
……たぶん。
…………
鈴石先輩
ん?
今日は……月が見えませんね
んー新月なんだろうね
…………
それは、残念です
月が、どうかしたの?
いえ、なんでもないです
とにかく、僕たちのクラスの展示に来てくださいね!
う、うん
何だったんだろう……
では、この辺で
あ…………
送ってくれて、ありがとう
別に……そういう気分だったんです
ああ、そう
じゃあ、またね
はい、おやすみなさい
あ、勉強頑張ってください
はーい……
……そうだね。まずは、勉強だ。
ああ……訳が分からない。
自分の気持ちが……
悶々とする二人……
そして次回、文化祭がスタートする!
つづく