鈴石茜

はぁ……

鈴石茜

勉強しないといけないことは分かるんだけど……

鈴石茜

生徒会、心配だなあ

やる気がなさそうに見えてしっかりものの佐島くん。
やる気を出せば結構できる子のアスナちゃん。

信用していないわけじゃない。
なら、このもやもやは……

鈴石茜

私が、生徒会の仕事をしたいという単なるエゴだ……

ほんと、駄目な生徒会長だ。

鈴石茜

成績落ちているのは事実だし、とにかくやれることをやらないと……

鈴石茜

終業のチャイム……もう下校時刻か……

鈴石茜

はぁ…………

もやもやするなあ。

鈴石茜

外もだいぶ寒くなってきたなあ……

佐島亮

そうですね

鈴石茜

さ、佐島くん!?

佐島亮

はい

鈴石茜

ど、どうしてここに?

佐島亮

そりゃあ、下校するためでしょう

鈴石茜

そ、そっか……

鈴石茜

あ、アスナちゃんは?

佐島亮

例の変な後輩に付きまとわれながら去って行きました

鈴石茜

真琴ちゃんか……

鈴石茜

相変わらずだね……

佐島亮

そうですね……

鈴石茜

…………

気まずい

鈴石茜

……えっと、じゃあ私帰り道こっちだから……

佐島亮

送りましょうか?

鈴石茜

え……?

鈴石茜

ええっ!?

なんで? だって私は佐島くんに告白して、それで佐島君は未だに私の告白を保留にしているんだよね? それなのになんで? 

鈴石茜

なんで!?

佐島亮

季節の変わり目は不審者が出やすいですからね

鈴石茜

そうなの?

佐島亮

冗談です

鈴石茜

え?

佐島亮

証拠も根拠も全くない、今思いついた冗談です。そんなのに騙されるなんて、鈴石先輩は馬鹿なんですか?

鈴石茜

なんだそれ!

佐島亮

その内詐欺にひっかかりますよ

鈴石茜

そんなことないし!

佐島亮

ま、鈴石先輩が詐欺に騙されたら僕が笑ってあげます

鈴石茜

失礼な!

佐島亮

じゃ、行きますよ

鈴石茜

えっ……

待って、私許可してない! 一緒に帰るの許可してないよ……!?

鈴石茜

な、なんだろうこの……

鈴石茜

この、美味しいけど微妙に喜べないシチュエーション……

こんなの、二次元にあったっけ?

鈴石茜

なんだかすっごく胸が痛い

佐島亮

どうかしました?

鈴石茜

う、ううん……

鈴石茜

ふ、不審者が怖いなあって思っただけ

佐島亮

まだそんな嘘を信じますか

鈴石茜

う、うるさい!

佐島亮

ま、大丈夫でしょう。行きますよ

鈴石茜

…………うん

何考えているんだろう、この子。

佐島亮

そうだ、僕たちのクラスの出し物ですが

鈴石茜

ああ、プラネタリウム……?

佐島亮

是非、鈴石先輩に来てほしくて

鈴石茜

え……?

鈴石茜

あ、審査としては行くけど……

佐島亮

そうじゃないです

佐島亮

普通に生徒として、来てくださいよ

鈴石茜

まあ、いいけど……何で?

佐島亮

……結構自信作になる予定なんで、見てもらいたいだけです

鈴石茜

そう……

鈴石茜

そ、それは面白そうだね

佐島亮

はい、是非

鈴石茜

と、ところで佐島くん

佐島亮

はい

鈴石茜

その……

告白の答えはどうなの……? 
って、今聞くべき?

鈴石茜

いや、なんでもない

ううん、今は急かさず待つべきだ。
……たぶん。

佐島亮

…………

佐島亮

鈴石先輩

鈴石茜

ん?

佐島亮

今日は……月が見えませんね

鈴石茜

んー新月なんだろうね

佐島亮

…………

佐島亮

それは、残念です

鈴石茜

月が、どうかしたの?

佐島亮

いえ、なんでもないです

佐島亮

とにかく、僕たちのクラスの展示に来てくださいね!

鈴石茜

う、うん

何だったんだろう……

佐島亮

では、この辺で

鈴石茜

あ…………

鈴石茜

送ってくれて、ありがとう

佐島亮

別に……そういう気分だったんです

鈴石茜

ああ、そう

鈴石茜

じゃあ、またね

佐島亮

はい、おやすみなさい

佐島亮

あ、勉強頑張ってください

鈴石茜

はーい……

……そうだね。まずは、勉強だ。

ああ……訳が分からない。

佐島亮

自分の気持ちが……

悶々とする二人……
そして次回、文化祭がスタートする!

つづく

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