ちょっと背伸びをして、記念日を祝うために夜景の見えるレストランでフルコースを食べた後、テーブルに座ったまま綺麗な夜景を眺めていたら突然、タツキが私の目を見てそう言った。
付き合い始めて何年経ったかすぐに思い出せないくらい、私たち二人はたくさんの時間を共にしてきた。
結婚という言葉を、意識していないと言えばウソになる。周りの友達だって、結婚第一波とかいうのが来ているのかぽつぽつと結婚し始めたし、早熟な中学の友達にはもう子どもだっている。友達と集まった時だって、いつも話題に上るのは仕事、そして結婚の話。
いつかは私もタツキと――、そう願っていたことは、確かな事実だった。
だからと言って、結婚ではなくて同棲だけれど、なんの前触れもなくこんな風に切り出されるとは思っていなかったので、思わずぽかんとした顔でタツキを見てしまった。