はぁ、、はぁ、、

どこいったんだよ、、アヤメ、、

どうしたの?こんなに慌てて。

アヤメ!!

廊下は走っちゃ危ないわよ。

ごめんなさい、、

あの!アヤメを知りませんか!!
俺と同じ233号室の!!

233号室、、、?

なぜアヤメちゃんのこと知っているの、、?

え、、、なんでって同じ部屋だったし、、

233号室は個室よ。

え、そんな、、

誰からか聞いたか知らないけど、あまりそういう冗談はよくないわ。

う、嘘じゃない!何回も会ったはずだし、それまでもいろいろ喋ってたんだ!

きっと人違いじゃないかしら?
お見舞いにきた人とか。

そんなはずない!
昨日は一緒に桜を見たんだ!!

桜、、、、、、

ほんとにアヤメちゃんなの、、、?

そう、一緒に桜を見てあげたんだね。

アヤメちゃんは桜を見れたんだね、、、、

え、え、なんでお姉さんが泣くんだよ。

ごめんね、急に泣き出して。

しばらくして看護師は泣きやみ
笑顔をこちらに向けた。

アヤメちゃんのこと話してあげるわ。

そういって彼女は長椅子に座るのを促した。

彼女は生まれつき病弱だったわ。


殆どが入院生活。


けれどいつも笑顔だったわ。


そして毎年桜を楽しみにしていたわ。


なんでもその季節が弟の誕生日だったらしいわ。


わぁ、満開だぁ~

――は元気かな。

……………

でもね、その弟君はすでに亡くなっていたの。


両親がどうしても伝えられなかったみたい。


弟に会えないまま、桜は季節を廻ったわ。


どんどん彼女は衰弱し、動けなくなった。


そして彼女は3月24日に--------


ねえ………百合さん…………

無理して喋らなくていいのよ。
どうしたの?

次の…………桜の季節………なら弟に………

会える……………かな…………………?

亡くなったわ。

………!!

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