そして夢を見た。

視界がくらむ。

何が起きたのか理解ができない。

どうやら頭を強く打ったようだ。

よかった…無事だったのね…

その声を聴いて振り返ると

血だらけの 姉の姿 だった。

そうだ、事故…

…桜を見に行く途中の事故だ。

そしてその時見たのは自分を庇った姉の姿だった。

彩梅!!!

よかった怪我なかったんだね…

アヤメから発せられるのは弱弱しい声だった。

す、すぐ助けを呼ぶから!!

お姉ちゃん、、もうダメみたい、、、

なにいってんだよ!!

最後にみんな、、、で桜、、

見たかったね、、、、

、、、、、、、、、

お、おい!彩梅!!

、、、、、、、、、

う、ウソだろ、、

母さん、、、父さん、、

必死の思いで運転席を見る。

そこには鮮血が広がっていた。

う、う、、

うあああああああああああああ

変わらないでくれ。

祈るように。
願うように。


変化するのはいつも唐突で
まだ子供の俺には受け止められなくて。

ならいっそすべてを手放して、

この世界に

俺は一人。

俺はすべてに絶望して

前へ進むのを自ら辞めたんだ。

全てを忘却する世界へ逃げた。

けれどなぜ俺は

今確かに、思い出しているのだろう。

ごめんね、私じゃお姉さんの代わりは無理だったみたい。

強く生きて、お姉さんの代わりにも。

だって桜太は生きているんだから!

アヤメ!

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