鳳利幸

とにかく、ペンコさんのストーカーの件をどうにかしなくては
しかし、、どうしたものか?

ペンコ

鳳先輩?
…もしかして、お口に合いませんでしたか?

ペンコに指摘されて、初めて自分の様子がおかしいことに気がついた。
フォークに巻かれたパスタは、途方に暮れていた
「よし」と決意をこぼし、改めてペンコに向き直る利幸。その凛々しさにペンコは己の心臓を打ち抜かれたのであった

鳳利幸

ペンコさん

ペンコ

はい

鳳利幸

最近、ストーカー被害とかにあってませんか?

ペンコ

私が!!!!
ストーカー被害!???

鳳利幸

へ?

この前の失敗したループの時、確かに彼女はストーカー被害にあっていると言っていた。あれは何だったのだろうか?

そんな利幸の疑問をスルーで、更にペンコの饒舌は続くのであった

ペンコ

鳳先輩は冗談が上手ですね
私なんかにストーカーするもの好きなんて居ませんよ

ああ。そういうことか
女子特有の私モテないからアピールなのだろうか?

どちらにせよ、先ほどの利幸の発言は失言と捉えて言いだろう

ペンコ

あ、でもでも
鳳先輩みたいな素敵な人がストーカーだったら、むしろウエルカムなんですけどね

鳳利幸

ペンコさんも冗談が上手ですね

ペンコ

あ、これは冗談というか

鳳利幸

はい???

ペンコ

いえいえ
何でもないです、忘れてください!!!

その後も、仕事の話や何ともない話を続ける二人であった
そして、会計を済ませようとすると時

ペンコ

自分の食べた分は自分で払わせてください

鳳利幸

しかし
そうなると先輩としての威厳が…

ペンコ

大丈夫ですよ
鳳先輩はいつでもかっこいい先輩ですよ
…むしろ私が先輩に御馳走したいくらいです

鳳利幸

…そうかな?

初めてだった
そんな風に思ってもらっていたということも、そのことを気づかされたのも

ペンコ

しかし、今日鳳先輩に使おうとしていた手をまさか見破られるとは…

ペンコにとってそれは大誤算であった
ストーカー被害にあっていると嘘をつき、利幸に心配してもらおう…あわよくば一緒に帰ってもらいたい

その様な計画は、利幸の発言によって消されるのであった

鳳利幸

じゃあ帰りましょうか

ペンコ

はい

計画は倒れてしまったが、一緒に帰れという事実が嬉しくて、笑顔が零れ落ちる
利幸もまた、奢らずして保てる威厳というものが存在する…その事実が嬉しくて仕方が無いのであった

鳳利幸

いやあ
今日は気分がいいな

チュータ

あれ
こんな時間にお散歩ですか

鳳利幸

おや
チュータ君も散歩かい?

チュータ

最近はやりの歩いてGOですよ
こうやって実際に歩くことで新しい衣装が手に入るんです!!

鳳利幸

あの、社会現象になっているアプリかな?
iiまあ、熱中症とかに気を付けるんだよ
はい、これ

言いながら利幸は、自販機で手短な飲料を購入し、それをチュータに渡す

チュータ

あ、ありがとうございます

あの

鳳利幸

あれ、此処は?

気がつくと、そこはペンコを送った後の公園であった
衣は呆れたように利幸の顔を眺める

また、忘れてましたか?
ループのこと

鳳利幸


不本意ながら飛んだといっても仕方ない

仕方ないですね…
ちょっとループに制限をかけます。これは制裁です。しかと受け止めてくださいね

「ごくり」
と固唾をのみ込む音が響く

衣はうーんとうなりながらその制裁の方法を考えていた
「そうだ!」

五回連続ループって結構あいまいですよね?

鳳利幸

…確かに

じゃあ、思い切ってループ制限を五回にしましょう!!
もうおじさんは、無駄に三回ループの機能を使っているので、残り二回しかループできません

残り二回ループした場合は…その時のお楽しみです

まだ、続けますか?

畳みかけるように言葉尻を強調して、衣は利幸に問かける
衣本人としてもここで実験を辞退してもらえるのもまた一興。そういった様子だ

鳳利幸

…少し考えさせてくれないか

即答はできない
今日のペンコの発言は確かにうれしいものであった

しかし、それだけでこの機会を逃すのは惜しい。そう思ってします自分は、やはり大人なのだろうか…?

1人、考えにふける帰路

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