おはようございます

鳳利幸

うわ…って君か

朝日が染みる利幸の部屋
居て当然という佇まいで衣はそこにいた

日付は8月21日
丁度利幸がチュータに奢った次の日である

いかがです?
同じ日を二回繰り返す気分は?

鳳利幸

まだ実感はない、というところかな

えー
勿体無いですよ、せっかくのチャンスなんですからしんけん楽しんでくださいよ!

鳳利幸

まあ、どうせ今日も繰り返すことになると思うし…そうさせてもらうよ

そういうと、衣の存在を視界から排除し、準備を始める
もちろん、昨日のペンコに誘われた食事会の準備である。時刻はちょうど9時頃を指していた

あ、おじさん
もし体調不良等の異変が生じたらすぐに報告してくださいね

鳳利幸

何故?

それも私の仕事の一環なので!

元気よく宣言をする衣
「あっそう」と適当に返事を返して部屋を後にするのであった

ペンコ

今日はありがとうございます

鳳利幸

いやいや
こちらこそ誘ってくれてありがとう

せわしないオフィス街の中に、その店はあった
そこだけが時間の流れが穏やかであり、二人の空間を形成する

鳳利幸

そう言えば、こうやってどこかに食べに行くの初めてですよね?

ペンコ

確かに!
鳳先輩って結構社内の人とごはんに行ったりするのですか?

鳳利幸

まだそんなに行ったことはないかな
でも、こういう場でしか話せないことってあるでしょ?
そういうコミュニケーションの場を増やしていけたらいいなと思ってます

ペンコ

やっぱり鳳先輩って素敵です!
周りの事にも気に掛けていらっしゃるんですね!!

鳳利幸

そんな大したことじゃないですよ
ペンコさんも何か困ったら、話してくださいね

「だったら」とうつむきながら、ペンコはその思い口を開く

ペンコ

最近…ストーカー被害にあっていて

鳳利幸

社内の人かい?

ペンコ

それが分からなくって…

鳳利幸

警備の人に不審な人がいないか聞いてみるよ
今日は家まで送ろう

伝票を握りしめ、お会計に向かう利幸
ペンコも荷物をまとめて、利幸の後に続く

ペンコ

あ、あの
奢ってもらうのは申し訳ないです

鳳利幸

気にしないでくれ
まぁ、こんなことで君の不安が拭えるとは思えないけど
その件が解決したらまたごはんに行こうか、今度はこっちから誘うから

ペンコ

鳳先輩…素敵です!
ありがとうございます

あの?

鳳利幸

あれ、此処は?

おじさんの部屋だよ

鳳利幸

何日?

8月21日
朝の9時ごろですよ

鳳利幸

あ、ああそういうことか
奢ったんだ、奢ったんだよ

もしかして、ループのこと忘れてませんか?

鳳利幸

そうみたいだね…以後気を付けるよ

そう発する利幸の口調はとても元気が無かった
しかし、前日に約束した食事会
今日を超えるには、食事会では奢ることが許されない…果たしてそんなこと、今の力を持った自分が我慢できるだろうか

葛藤の果てに、利幸は再度食事会の準備を進めるのであった

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