心霊アパート
其の二














アパートの2階に上がり、私が目にした光景は一瞬目を疑うものであった。








アパートのドアが、敗れたビニールで覆われている。





よく建築中の家のドアに貼ってある保護シートだ。








それが築何年経つか分からないほどのぼろアパートについている。







しかも、私の部屋だけではなく、奥に広がる他の部屋にも同様のビニールが貼られている。








ところどころ敗れたビニールは、風ではためき、なんとも不気味な音を出していた。








カズリー

マジかよ…。
やっぱりあの話はマジなのか?










そう。実はここに来る前に、噂でこのアパートは「出る」と聞いていたのだ。








私は気合いを入れ直し、部屋の前に向かう。
















鍵はすんなり開き、部屋に入ろうとした瞬間、足元に違和感が。






カズリー

もっ、盛り塩?









ドアを開けてすぐのところに、小さく盛り塩がしてある。








しかし相当古いものだ。








完全に固まり黒く変色している。
















実は盛り塩は、古くなると逆効果になると言われている。








そして、盛り塩をして「魔」を除けるなら、部屋の外だ。








しかしこの盛り塩は部屋の中にある。









これでは「魔」を除けるどころか、中に閉じ込めてしまう。









カズリー

なんなんだ、この部屋は……。










盛り塩を崩さないようゆっくり部屋に入る。









そこである匂いが鼻についた。











カズリー

香水?
しかもこれは……








確かに香水の香りがした。
しかも「女物の香水」である。






カズリー

おかしい…。
この間までここに住んでたAは男だし、研修先に他人を泊めることは禁止されている。








じゃあこの香りは一体………













その瞬間、突然ドアが勢いよく








と、閉まった。









ー続くー














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