——モーヌスーン・占い館

ニャルラ

アンタたち、村長の息子にはもう会ったかい?

アルマ

いいえ、まだ…

ネプト

あれか?その村長の息子と結ばれたいってか?

ニャルラ

もしかして、それ、あたしがってことかい?

ニャルラ

誰があんなへたれ狼を好きになるかってんだ!!

アルト

へ・・・?じゃあ、誰が・・・?

ニャルラ

シープラさ。

ニャルラさんの話によると、シープラさんは村長の息子ーールフさんに恋をしているそうだ。ニャルラさんから見てもなかなかいいカップルになりそうで、さらに・・・どうやら両思いなんだとか・・・。
しかし、どちらも互いの気持ちに気づくことはなく、ずっとウジウジしている様子を見せられイライラしていたらしい。それを、僕らになんとかしてほしいということらしけど・・・。

アルマ

あの、それって、シルフは何かやったんですか?

シルフ

あー、やったよ

シルフ

なんか逆効果で決裂寸前までいったけど・・・

ルナ

どんな提案したのよ・・・

シルフ

男なら一発ヤr

アルマ

ファントムショット!!!

シルフ

何すんのさアルマ!!

アルマ

シルフ、しばらく口だし禁止。いいね?

シルフ

冗談だったのに・・・

アルマ

言っていい冗談と悪い冗談があるでしょう?

シルフ

はぁーいすいませんでしたー(棒)

いくら冗談だって・・・君がそれを言うと冗談に聞こえないから困るんだよ・・・

ルナ

一発屋・・・?

アルト

ルナは知らなくていい世界だよ・・・

ルナ

ええ何それ気になるじゃない・・・!

ネプト

大人の男女のあれやこれってこったな!

アルマ

はいはい自重しましょうねー(威圧)

ニャルラ

まあ・・・それはあたしも考えたんだけどね?

アルマ

アウトですよ!!!

ニャルラ

あいつらはそれ以前の問題なのさ・・・

アルト

それ以前?

ニャルラ

ああ・・・二人じゃお互いまともに話せん。

ネプト

oh.....

ルナ

そこからなのね・・・

ニャルラ

まあとにかく・・・強制はしないさ。二人の状況を見て、できそうなら力を貸してほしい。

確かに・・・目の前でもどかしい状況をずっと見せられ続けたら辛いものがあるだろう・・・ちょっと手を貸すくらいなら・・・

アルマ

わかりました。やるだけやってみます

ニャルラ

おっ、本当かい!?ありがたいよ!!

シルフ

目の前でそりゃあ長い間もどかしい状況を見させ続けられるのは、辛いものがありますからねー

アルマ

・・・・・・あれ、もしかして僕のこと言ってる?

シルフ

俺、お前ら以外にあんな初々しいカップル見たことないんだけど。

アルマ

そんなにひどかったの・・・?

シルフ

サイアク。

アルマ

ご、ごめん・・・

アルト

と、とにかく・・・まずはその・・・ルフさん?に会ってみようか。

ネプト

そうだな。基本は聞き込み♪

シルフ

ルフさんとこいくのか?なら案内するぜ!

アルマ

そうだね・・・頼めるかい?

シルフ

任しとけ!

ニャルラ

面倒なこと頼んですまないね・・・じゃ、頼んだよ。

アルマ

はい!任せてください!!

僕たちは占い館から出て、村長の家へ向かった。大概ここにいるということだが、果たして・・・?

シルフ

ルフさーん、いますかー!

少しの沈黙の後、家の戸がゆっくり開かれた。狼の耳をはやした、優しそうな青年が顔を覗かせる。

ルフ

ん、シルフか。どうした?

ルフ

あとは・・・?

シルフ

前に言った俺の友達と、そのお仲間さん!旅してるらしいです!

ルフ

そっか、みつかったのか。良かったな。

シルフ

はい!

シルフ

ところで・・・その後どうですか?

ルフ

・・・・・・・・・・・・・・・

シルフ

あー・・・はい。把握です。

シルフ

とまあ・・・こんな感じだ。

ネプト

んー、こりゃまた・・・なんつーか・・・

アルト

難しそうだね

ルフ

・・・まさか、また話広がってるのか・・・?

シルフ

そうですね。ルフさんがいつまで経っても告らないから・・・

ルフ

マジか・・・

ルナ

話せないって言うから、口べたなのかと思ったけど・・・そういうことじゃないのね。

シルフ

んー、そうなんだよなぁ・・・俺たちとは平気なんだけど、シープラさんとだと・・・

シープラ

あっ、ルフくん~!ちょうど良いところにぃ~!

ちょうど良いことに、当の本人が来てくれた。が、ルフさんは喜ぶでもなく笑顔になるわけでもなく・・・なぜか眼光をすぼめ、目つきが鋭くなった・・・。

ルフ

あ?なんだ、のろま羊。またくだらない失敗でもやらかしたのか?

ルナ

・・・へ?

アルト

る、ルフさん・・・?

ネプト

あー・・・そういうこと。

シルフ

ああ・・・そういうことなんだ。

シープラ

あー、みんなもいたんですねぇ。

シープラ

探しものは見つかりましたかぁ?

アルト

はい・・・一応は。

シープラ

わぁ~、良かったですぅ~!

ルフ

おい、俺も忙しいんだよ。用があるなら早く言え。

シープラ

はわわぁ、ごめんねぇ・・・

シープラ

あのねぇ、狐の子がぁ、ボールを木に引っかけちゃったんだってぇ。だからぁ、取ってほしいのぉ。

ルフ

そんだけか・・・ったく。それ言うだけでどんだけ時間取ってるんだ・・・

ルフ

取っといてやるから早く失せろ。お前が視界に入るとイライラするんだ。

シープラ

うん!わかったぁ~!
それじゃあ、よろしくねぇ。

ルフ

ふん、足下気をつけて帰れよ。何もないところで転ぶんだから・・・

シープラ

えへへ~、うん、きをつけるねぇ~。

シープラさんはそのまま何事もなかったかのように去って行った・・・シープラさんの姿が見えなくなると、ルフさんはその場に頭を抱えて座り込んだ。

ルフ

うわああああまたやっちまったあああああ!!!!!!

アルト

・・・もしかして、しゃべれなくなるって・・・

ネプト

極度の照れと緊張で、相手にひどく当たっちまうってことか・・・

シルフ

そういうことなんだよ・・・

ルフ

こんなんじゃダメだってことはわかってるんだ・・・なのに、シープラがいざ目の前に来るとどうしても・・・ああもう死にたい・・・

ルナ

し、死んじゃダメよ!!

ルフ

いや、もう駄目だ・・・今度こそ絶対嫌われた・・・今までは良かったけど今度こそは・・・!!

シルフ

ほら落ち着いてください・・・しんこきゅーしんこきゅー

ルフ

すー、はー、すー、はー・・・うう・・・落ち着いた・・・

ネプト

とりあえず・・・ボール取りにいてやったらどうだ?何かすればリフレッシュして、冷静になれるだろうし。

ルフ

ああ・・・はい・・・そうします・・・

これはかなり重傷だな・・・でも、何かきっかけがあれば・・・

シルフ

どうだ、アルマ。なんとかなりそうか?

アルマ

・・・・・・・・・

アルマ

ルフさん。シープラさんのこと、本当に好きですか?

ルフ

は・・・?ああ、好きだ・・・じゃなかったらこんなに後悔してない・・・

アルマ

・・・・・・・・・

アルマ

なら、大丈夫です!

ルフ

は・・・?

アルマ

次会ったら、告白しちゃいましょう!それが一番です!

ルフ

は・・・はああああ!?

アルト

ちょ、アルマ!?それができないからルフさんは・・・

シルフ

アルマのことだ、なんか策があんだろ!心配ねえって!

アルト

え・・・ええ・・・?

こういうのは、勇気を出して伝えちゃうのが一番!僕はうろたえるルフさんの手を握り、笑顔で頷いたーー。

第五楽章 アルマ、戸惑う 2

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