第2話前編
憧れの1人暮らし!
晴れて自由を手に入れた僕は、平和な日常を堪能していた。
だけど変な羊さんが現れて事態は一変。
今日から一緒に暮らすことになったんだ
何言ってんのこの人!(人?)
ユーヤ君のアメージングデイズ♡
第2話前編 変な人と歩けば変な人に出会う
朝起きると、ご飯が用意されていた。
すごい……
トマトがたくさん使われたサラダに光り輝いているスクランブルエッグ、カリカリに焼いたベーコン。
そしてなにより……
パンも焼いたよ!
この家にある調理器具でどうやったらここまで出来るんだ。
僕は寝ぼけ頭で考えた。
………
……
…
あぁ、天才は何でも出来るんだ。
あ、ちなみに、調理器具と材料費で5万円だから、今度お母さんに――
ちょっと表へ出ろ
オラァ!!
馬鹿と天才は紙一重だ。
羊さんの料理の腕前は分かった。
お店を開けるんじゃないかってくらいのすごさ。
ただ問題がひとつ。
金銭感覚がまるで駄目。
こうなったら仕方ない。
僕も一緒に食材を買いに行く!
ユーヤ君とお出かけなんて、うれしゅうございます!
うん
黙ってくれる?
歩いているうちに気付く。
商店街に買出しに来たのは失敗だったか。
道行く人が羊さんに振り返る。
変な目で見られるたび、僕は小さくなっていく。
羊さんはまるで気にしていないようだったけど。
僕たちはあーでもないこーでもないといいながら食材をめぐり歩いていた。
おいしいキュウリがほしいのです
うん、だったら八百屋かな
おぉ、見てくだされ、ここに1本2000円の面白い形をしたキュウリが!
見たくない
八百屋はこっちだ
はぁ。
買い物するのも一苦労だよ。
ん?
道の先から、変な人(羊さんとは別)が歩いてくる。
狼さんはいませんかー?
僕は何も言わず180度ターンをし……
おぉ!
赤頭巾が何とも可愛らしい!
相手すんなっ!!
羊さんがにこにこと赤い頭巾を被ったいかにも怪しい男に近づいていく。
僕が止める間もなかった。
あなたは狼さんですかー?
いいえ、メーは羊でございます
狼さんを知りませんかー?
申し訳ありませんが見たことがありませぬ
しかしその赤い頭巾は可愛らしい
あなた、狼さんの素質があります
どうでしょう?
このわたしと一晩をともにしてみませんかー?
なんだ、ただのホモか。
メーはこのお坊ちゃんと一晩を過ごす予定でございます。申し訳ありませんが……
紛らわしい言い方すんなっ!
あなたは狼さんですかー?
こっちくんな
ホモっ!
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