第1話


























初めまして。
僕は水田ユーヤ。
田舎の高校に通うごく普通の高校生。
ワケあって1人暮らししている。
平凡で穏やかな日常。

気ままに暮らせるのもよくて、僕は今人生を謳歌している。

そんな平和で穏やかな日々を過ごしていたのに……
















































こんにちは!
メ―が来たよ!!















なんか変なのがやってきた。

























 

ユーヤ君のアメージングデイズ♡
 第1話 可笑しな同居人
































それは、日曜日の穏やかな昼下がり。
僕は漫画を読みながらくつろいでいた。

あー、このソファーも、テーブルも、僕のもの!

好きなときに好きな漫画を読んで、好きな飲み物を飲んで。

あぁ、なんて幸せな1人暮らし!!


こんないい生活が出来るなんて、家を出てきてよかった!




































ん?
誰か来た??



この時の僕はバカだった。
モニター付きインターフォンなんていいものがついているにも関わらず、それを見なかった。


誰だろう?








































こんにちは!
メーが来たよ!!























































……なんだこの人。
僕は夢でも見ているのかな?
こんな羊みたいなおじさんなんて知らないんだけど。

えっと、人違いです



僕はそう言って玄関を閉めようとした。































えっ!?



閉めようとしたけれど閉められなかった。
よく見ると変なおじさんが必死に玄関を押さえていた。


ひどいじゃないかユーヤ君!
メーはチミに会いに来たと言うのにぃ!

はいぃ!?

3秒も経たず追い出そうとするなんてぇ!

ってなんで僕の名前知っているの!?



こわっ!
知らない人に(しかも変な人)に名前を知られているなんて、怖い以外の感情が出てこないんですけど!


なんでって知らないのかい?

何も知らないんですけど!?

メーはチミのご両親に頼まれて、今日から一緒に暮らすことになったんだ



変な人は胸を張って言う。


……………………

……………………

はいぃぃぃ!?





















さようなら。
僕の平和で穏やかな日々。


































とりあえずお茶を出して話を聞く。

お茶を出してくれるなんて!
チミはいい教育を受けてきたんだね!

まぁ、仕方ないからね

変な人だけど。

メーのことはメーって呼んでね、ユーヤ君!

はぁ

この人は本当に同居なんてするつもりなんだろうか?































あ、メールだ
ちょっとごめん



スマホを取り出してチェック。





















『ユーヤの1人暮らしが心配なので、人を送りました。仲良くしてね♪』




















…………

ちょっと母さん、『人を送りました』って、来たのはザ・変な人なんですけど

ザ・変な人は僕のスマホを覗き込んだ。

ほらほら!
ご家族公認だからね!!

………………

大丈夫大丈夫!
こう見えても料理は得意だから!

一番得意なのはケーキ!
早速作ってしんぜよう!!

ケーキは料理じゃないから!
お菓子だから!!



ちょっと待ってよもう…頭が痛いんですけど。






















羊人間はどこから持ってきたのか小麦粉とか卵とか牛乳とか砂糖とかその他もろもろの材料でケーキを作り出した。
エプロンつけて鼻歌なんて歌っちゃってノリノリで。




















本当に大丈夫なんだろうか
僕は変な夢でも見ているんじゃないだろうか

夢なら早く覚めてくれ


























数時間後――


























出来たよー!

ニコニコしながら出来たてのケーキを持ってくる。
シンプルなイチゴショート。
きちんとスポンジは膨らんでいるし、ホイップクリームの塗り方も丁寧だ。

すごい……

でしょー!



羊さんは慣れた手つきで切り分ける。
お皿に苺ののったショートケーキと小さなフォーク。
でもでも、見た目はきれいでも、味がどうかは分からない。


どうぞ♪

 


羊さんは笑顔で勧めてくる。
恐る恐る一口……










































…………。














………。















……。















…。














すんごいおいしいんですけど!!

僕は目をまん丸にしてケーキと羊さんを見比べた。
羊さんは嬉しそうに頷いている。
その辺のコンビニやスーパーで買うよりもずっとおいしい。
羊さんがいれば僕は困らないかもしれない。

あ、でも材料費と道具代で2万円使っちゃったから、今度お母さんに返しておいてね♪

はぁ?














……………………。















前言撤回。
僕、この先大丈夫か?









































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第1話 可笑しな同居人

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