今日は約束してないんだけど、どうしたんだろう?

 昨日と違い、今日は日直でもないし特に早くいく必要もないんだけど……なんて呟きながら、私は玄関へ行った。

 そこで私が見たのは……

あれ? お父さんじゃん

ああ。おはよう、ちょっと忘れ物をしてな

 裕美じゃなくて、仕事へ行ったはずのお父さんだった。

 お父さんはそう言って、靴箱の上に置いていたカバー付きのペットボトルをカバンに入れる。

あれ? お父さんいつもコンビニで野菜ジュースを買ってなかったっけ?

今の私にはこれが必要なんだよ

ふーん。そうなのね。行ってらっしゃい!

 お父さんの後ろ姿を見送り私は急いでご飯を食べ始める。

 と。カバンに荷物を詰めていた時に、また玄関のチャイムが鳴った。

 時間を確認すると、裕美との約束の時間。

今度こそ裕美だ。お母さん、行ってきまーす

 私はそう言って玄関を飛び出し、裕美とともに学校への道を歩き出した。

ねえ裕美、昨日言っていた話なんだけどさ

ああ学園祭の?

いやいや。”仲間外れ”の話しよ

え? 私そんな話してないよ

あれ? この話し裕美から聞いたんじゃなかったっけ?

そんな事より学園祭だけどさ。お化け屋敷とかしたいよねー

んー、まあいっか。えー私は無難にカフェとかが良いなあ

 若干の違和感を感じながらも、私たちは学校まで他愛のない話で盛り上がった。

ただいま!

 学校から帰って、私はそそくさとリビングに向かう。

 そこでお母さんは夜ご飯を作っていた。

ふんふふ~ん

 鼻歌なんて歌っているってことは、随分と期限がいいんだろう。私はもう一度ただいまとお母さんの背中に声をかけ、二回の自分の部屋に向かった。

 朝感じた違和感が、明確な疑問に変わったのはそれからだった。

 夕方の七時。私はいつものようにリビングに向った。

お帰り咲。ご飯出来てるわよ

ただいま。あれ? お父さん、もう帰ってたんだ?

いやー。栗ご飯か。美味しそうだなぁ

え?

 テーブルを見れば、そこには三日続けて栗ご飯と、他にも同じ料理が並んでいた。

ねえお母さん、何で最近ご飯がいつも同じなの?

今日は私の自信作よ!

(もぐもぐ・・・)

 不気味な雰囲気に耐えられなくなった私は、いしいで自分の部屋に向かった。

 それからはよく覚えていない。目が覚めたのは、翌日の朝の七時十分だった。

ふわああ。おはよー

 眠っている間にすっかり昨日の出来事を忘れた私は、寝ぼけ眼でリビングへ下りる。

おはよう、咲。今日は早いのね

 いつもよりも遅い時間なのに、昨日と同じ反応。やっぱりどこかがおかしい。

そんなことないよ。いつもより遅いくらいだよ

そうなの。いつも大変ね。さあ、朝ご飯を食べて元気に行ってきなさい

 見ると、テーブルにはやっぱり栗ご飯に卵焼きと、お味噌汁に焼き魚。

やっぱりおかしいよ!!

 叫んで、私は玄関に行って、そこでお父さんにぶつかりそうになってよろけた。

お父さん、どうしたのこんなところで

ああ。おはよう、ちょっと忘れ物をしてな

ねえお父さん。聞いて。やっぱりお母さん変なの!!

 そんな私の言葉に、お父さんは靴箱の上のペットボトルを取り言ったのだ。

今の私にはこれが必要なんだよ

もう!!

 ついに限界が来て、私は部屋を飛び出した。

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