静香は練成の隙を埋めるために、二挺の銃を一度に練成するのではなく、練成を二回に分ける方法を取っていた。

 デバイスが二つに分かれている彼女にしかできない練成方法だ。

 そのため、一方の銃を練成している間、もう一方の銃で相手を足止めでき、練成の間の隙にも、攻防が可能になっていた。

霧裂 静香

 あなたの練成形態のデバイス。

 優斗のデバイスに良く似ていますね。

 片方の魔銃を練成し終えた静香はもう片方の魔銃の練成に入った。

神裂 希

 そうですね。同系統の武器ですからね。

 でも、色は違いますよ?

 練成した武器を指差し、希は静香の問いかけに答える。

霧裂 静香

 優斗の武器は赤色でしたね。

 あなたの武器は……、桜色ですか?

神裂 希

 はい。正解です。

 希が笑顔で答える。

神裂 希

 霧咲さんの武器も珍しいですよね。

 緑色ライン入った銃と白色のラインの入った銃。

 一つのデバイスなのに、二つのデバイスを持っているかのように打てるし、魔弾の種類も違う。

 希は静香の魔銃についてすらすらと言っている。

霧裂 静香

 よく知っていますね。

 さっきの試合でも瑞希に同じようなことを言ってましたよね? 

 私たちとは初対面のはずなのに……。

 あなたはいったい何者ですか?

神裂 希

 私ですか? 

 私の名前は神裂 希です。

 何者かと言われても、答えようがありません。

 希はそう言って剣を構え、呼吸を整える。

霧裂 静香

 そうですか。

 まあ、あなたが何者かは気になりますが……。

 試合時間も長くなってきたので、ここからは本気でいきます。

 覚悟してくださいよ。

 静香は一気に希の背後に回りこみ、魔弾を一発打ち込んだ。

霧裂 静香

 魔弾、蛇龍弾!

 放たれた魔弾はランダムな弾道で背後から希に襲い掛かる。

神裂 希

 させない!

 希は器用に魔弾を避け、すぐに攻撃に転じる。

神裂 希

 炎斬剣!

 その声と共に、希の剣から大量の炎が発生し、静香を呑み込む。

霧裂 静香

 魔弾! 鎧龍弾!

 静香は希の攻撃を鎧龍弾で防ぐ。

霧裂 静香

 驚きました。優斗と同じ技を使うのですね。

 静香は希に言う。

神裂 希

 でも、私はその先を知っている。

 希はそう呟くと、刀を鞘に納めて、体勢を低くした。

霧裂 静香

 居合いの構えですか。

 お互い、魔力も底をついてきたので、これが最後の一撃ということですね。

 そう言って、静香は、二挺の魔銃を前に突き出した。

神裂 希

 二の型、閃光花火!

  希が居合いの構えから、一気に刀を抜き、魔力と空気の摩擦により、火花が生じる。

霧裂 静香

 魔弾、二重螺旋弾!

 静香の二つの魔銃から一つは、まっすぐ直進し、もう一つは直進している魔弾の周りを纏うかのように弾が放たれた。

  火花を散らしながら進む炎と、螺旋状に回転する魔弾とが、衝撃派と轟音を発生させ、そして爆発した。

 衝撃により、希と静香はお互いに吹き飛ばされた。

 BATTLE END!

 機械音が試合終了の合図を告げ、体育館が田舎の風景から、元に戻っていく。

 爆発の衝撃は凄まじく、対魔力素材でできた体育館の床が、大きく歪んでいた。

神宮寺 瑞希

 し、試合終了!

 これは、引き分け……ですか?

 司会の瑞希が想定外の事態に少し戸惑っている。

第三十四話:《歓迎試合~二色の魔銃3~》

facebook twitter
pagetop