榊 ミント

あれ……ササミさんの部屋の扉が開いたままだ

榊 ミント

な、なに?
コレ………………

橘 ハヤト

どうしたの

橘 ハヤト

……………っ

橘 ハヤト

ダメだ、死んでいる。
どうして、ササミさんが。

榊 ミント

ササミさん! ササミさん!

橘 ハヤト

榊、落ち着いて!
冷静にならないと!

橘 ハヤト

窓ガラスの破片が部屋の中にある、
それは外から誰かが侵入したってことだ。
だけど、ここは断崖絶壁で外から侵入なんてベランダしか…………

橘 ハヤト

待って、ササミさんの部屋の番号って

笹 ササミ

私の部屋は301号室よ

橘 ハヤト

隣の部屋は

私は302だったよ。
何かあったら訪ねてきてね

梓 アンズ

……

橘 ハヤト

ベランダを渡ってきたのか

榊 ミント

あ、アンズちゃん! 大変だよ

橘 ハヤト

ダメだ

梓 アンズ

…………

あんた、邪魔だよ

榊 ミント

え?

梓 アンズ

………

榊 ミント

ど…………うし……て

橘 ハヤト

榊………

梓 アンズ

大丈夫だよ、橘くん。橘くんのことはこんな風には殺さないから。
ミントちゃんは私の敵。
ミントちゃんは橘くんが好きだった。だから私は彼女を殺さないといけなかったんだ。

橘 ハヤト

他の人は

梓 アンズ

五月蠅そうな人たちは、全員黙らせたよ。
ササミさん、私から橘くんを取ろうとした。
弟さんと重ねてた。弟さんの代わりにするつもりだったんだ。

橘 ハヤト

………

梓 アンズ

だから殺したの。
そしたらね、他の人たちも邪魔に見えてきたの。もう誰が誰なのか、わからなかった。
とりあえず、目についた人たちは黙らせた。

橘 ハヤト

………

梓 アンズ

考えるのも、面倒だったんだよね。
変だよね、凄く悲しいの

橘 ハヤト

あずさ………

梓 アンズ

違うよ、名前で呼んで

橘 ハヤト

……アンズ

梓 アンズ

うん。ここで、待っていてね。
全員、殺してくるからね。
そしたら、一緒にいこうね。

橘 ハヤト

…………

橘 ハヤト

どこで、間違えた………………何を間違えたのだろうか

神田 カナト

部屋割りだろうな。
まさか窓が開く部屋があったとはね。

橘 ハヤト

……神田さん

神田 カナト

302号室の窓だけ、鍵が閉まっていなかっただと?
おかしい。
昨日のうちに全ての部屋の確認はしていたはず、確認していたはずだ……証拠はないけどな。

橘 ハヤト

……大丈夫、ですか?

神田 カナト

ああ。人の死を目の当たりにすることには、もう慣れたよ。慣れたくもないけどな。
俺が目覚めるのは、いつも三木に鍵を預けてからなんだ。
だから、鍵を回収することは出来ない。
窓を固定させたのは、それ以前のこと。何度も死んでいるからだろうか………記憶が曖昧になっているんだ。

橘 ハヤト

窓のことだけど、僕たちが勉強している間にもう一度窓を全て固定する方法は?

神田 カナト

窓はコンクリートで固めていたんだ、簡単にできるものではない。
また今日が始まるのなら……その時は全ての部屋の窓の確認をするよ。
他にも窓が開く部屋があるかもしれないからな。

橘 ハヤト

はい…………

橘 ハヤト

もしも、次に目覚めた時……この記憶があったのなら僕にも考えがある。
梓の行動は止められるかもしれない。

神田 カナト

………

橘 ハヤト

僕が目覚めるのは、このホテルに入る直前。三木先生から鍵を受け取る前だから。

橘 ハヤト

だけど、今回は…………

神田 カナト

橘くん?

橘 ハヤト

僕の所為で殺された。
みんな………僕の所為で殺されたんだ。
僕に出来ることは、梓に僕を殺させないこと。

神田 カナト

………

神田 カナト

仕方ないな、付き合ってあげるよ。
俺の死は、橘くんの所為じゃない。俺の選んだ死だ。

橘 ハヤト

………………

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