タイムマシン

ボクは、ガラクタがたくさんある倉庫へ向かった。

柳之助

おっ

柳之助

丁度いいものがあった。
なんかこれ、スピード出そう。

やっぱ、こういうの、楽しいかも。

柳之助

反重力装置をどこかで見たような気がするから、それをこれにくっつけて、

柳之助

あった

元々そういうものだったのか、ちょっと手を加えただけで、光速で動けそうな乗り物になった。

柳之助

こんなもんか?

チャシャ

何してるんだ?

柳之助

試しに作ってみたんだ。

チャシャ

何を?

柳之助

タイムマシン。

チャシャ

え?

柳之助

短時間で作ったにしては、
なかなかな物ができた。

チャシャ

お前、まさか、
過去に戻るって言うんじゃ……。

柳之助

そうだよ。
環境問題をどうにかするなら、悪化する前になんとかした方が早いだろ。

チャシャ

おい、それはあいつらに
言ったのか?

柳之助

カナンとマギーか?

柳之助

別に言わなくてもいいだろ?
すぐに戻ってくるし。

ボクはタイムマシンに乗った。

チャシャ

こら!
何、行こうとしてるんだよ!

チャシャ

行くんじゃない!
戻れ!!

柳之助

やだよ~。

ボクは扉を閉めた。

チャシャ

リュウ!リュウ!!

外のマイクがチャシャの声を拾っていた。
通信設備はまだ生きていたみたいだ。

柳之助

何、必死になってるわけ?
テスト飛行なんだから、大丈夫だよ。

マイクに向かって言った。
外のスピーカーでチャシャには聞こえているはずだ。

チャシャ

テスト飛行だ?
ふざけてるんじゃねーぞ!

聞こえたみたいだ。

柳之助

カナンたちには
伝えておいてくれ。

チャシャ

待てよ!
行くな!

柳之助

うるさいな……。

スピーカーを切った。

チャシャは何かを叫んでいるのが小さなモニターから見えたが、ボクは普段はめったに開けることがない扉を開け、その扉に向かってタイムマシンを進めた。

柳之助

あそこを抜けると
地上だ。

地上に出たが、古い映画で観たような景色は広がっていなかった。

柳之助

単一な世界。

紫がかった茶色が大地を覆っていた。
空の色はどよんっとしている。

この小さな乗り物から出たら、ボクは数秒ももたずに死ぬだろう……。

ゆっくり旋回して、宇宙を目指す。

柳之助

これを、青い空と
緑の大地にするなんて……。

無理だよ……。

暗い空を抜け、一気にスピードを上げる。

柳之助

もうちょいか……。

この時、

ボクは思ってもみなかった。


ボクにとっての明日に、

カナンもマギーも

チャシャも

いなくなってしまう

ということを

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