ミラ

君、死んだから

真矢

え?
私が……死んだ?

ミラと名乗る人物から突然言い渡された自らの死。
もちろんあって数分しか話していないような人間の言うこと――まして自分が死んだなどというバカげた話を信じられるはずもない。

真矢は激しく抗議したが、それを華麗に受け流しながらミラはまたしても楽しそうに笑う

ミラ

わかるよわかる
みんな最初はそんな反応ばっかりだからね

真矢

死んだなんて嘘でしょ?
だって……

ミラ

死んだ人間は往々にしてそのことに気がつかないんだ。
だから僕が証明してあげるよ

そう言ってミラは右手で真矢の手首を持って思い切りひねりあげた

真矢

きゃあ!

真矢は大声を上げてミラを突き飛ばす。
彼女は自分の右手を見ると目を丸くした。
手首がグニャリと一回転してねじれていたのだ。

普通の人間には起こり得ない現象に真矢の思考回路が完全にショートしてしまった。

ミラ

これで納得できたかな?
少なくとも君は生きてない

真矢

……ホントに……死んだの……?

ミラ

そうだよ
死んだからこそ僕の前に呼ばれたんだ。

真矢

どういうこと?

ミラ

転生だよ。
死んだら生まれ変わる。
生きてるうちにならわなかった?

真矢

習っては無いけど……
生まれ変わるのか……

自分が死んだということにある程度納得がいった真矢は、生まれ変わりの話を比較的すんなり受け入れた。

真矢

生まれ変わり……
それと貴方にどんな関係があるの?
閻魔様か何か?

ミラ

近いようで遠いですね。
説明するためにあなたに一つ質問をします。

真矢

何?

ミラ

あなたは『良い子』でしたか?

真矢

どういうこと……?

ミラ

決まりを守り、他人を大切にし……
誰にも迷惑をかけずに
素晴らしい聖人君子と呼ばれるような生き方ができましたか?
と聞いてるんですよ。

真矢

それは……
そこまで言われると自信ない……

転生後のことを心配してか、消えそうな声で真矢が言う。
それを見てミラはケラケラと笑う。

ミラ

心配することないさ。
ここに来た時点で君は人間に生まれ変わることになってるんだ。
ただ、君が生前したちょっと悪いことを振り返って来世に生かしてもらおうってこと!

真矢

反省会みたいなもの……?

ミラ

That's right!
その通り!
この反省会が終わったら、反省の度合いに応じて転生の順番が決められるんだ。
そして、順番が来たら生まれ変わって次の人生を歩む。
理解できた?

真矢

そういうことなのね……
わかったわ

来世の自分に対してある程度安心できる材料がそろったためか、真矢の調子はほぼ落ち着いていた。

ミラ

君の心の準備ができたら、出発しようか

真矢

いつでもいいわよ

ミラ

じゃあ行こうか
『転生エレベーター』上へまいります!

ミラが声を上げると、真矢とミラのいる大広間が突如として持ちあがった

真矢

えっ!?
これ自体がエレベーターなの!?

ミラ

そうだよー

驚く真矢と平然とするミラを乗せ、転生エレベーターは上昇をつづけ、幾許か進んだ場所で停止した。

To the next Floor...

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