コツコツとローファーを鳴らしながら一人の少女が暗闇の中歩いていた。
コツコツとローファーを鳴らしながら一人の少女が暗闇の中歩いていた。
それにしてもここはどこなのよ
制服を着た彼女――山居(やまい)真矢(まや)はぶつぶつと不満を漏らしながら歩いていた。
なに?ここ……
視界が開けた先には大広間のような空間があった。
ローファーの音が一段と大きく反響する。
いらっしゃい
!?
突然ホールに響いた声の主を探して真矢は周囲を見渡した。
ここだよ
ここ
真矢が視線を上げると手すりに腰掛けた人影を見つけた。
その人影はヒョイと手すりから降りると真矢の元へと歩み寄った。
中性的な顔立ちであり、近くで見ても男女の区別ははっきりしない。
ふ~ん
なかなか可愛い顔してるねぇ……
あ~
なるほどねぇ~
軽口を叩いたり、一人で納得したりと忙しい人だなぁなどと考えていたが、真矢はひとまず疑問をぶつけることにした。
貴方……名前は?
なんだか迷子の子に話しかけてるみたいだね
僕の名前はそうだなぁ……ミラって呼んで
完全に偽名よね?
真矢の言葉にミラと名乗った人物はケラケラと笑う。
面白いね君
そんなことより、ここはどこなの?
あなたは私より先にいたんだし、知ってるんじゃないの?
もちろん知ってるよ。
ここに呼んだのは何を隠そうこの僕なんだからね。
どういうことよ
真矢の頭にクエスチョンマークが浮かぶ。
しかし、無理もない。
こんな見ず知らずの場所に来ているうえに、連れてきたなどといわれてしまえば、目的や方法などさまざまなことが気にかかるものだ。
なんで?
何のために?
そう焦らないでよ
とりあえず、あなたには言っておかないといけないことがあるんだ。
言っておかないといけないこと?
そう
大事なこと
そう言ってミラは真矢の顔をまっすぐに見つめた。
その力に気圧されるように真矢は固唾をのんだ。
ミラは真矢の真剣な目を一点に見つめ
言い放った
君……死んだから。