繰り返している?俺が?
そんな馬鹿な。繰り返すのは俺じゃない。
俺はいつも振り回される側だ。

・・・・・・いつも。
いつも、振り回されることの繰り返し?

俺以外には、そう見えるのか?
繰り返しているのは俺なのか。
俺が、そんな、馬鹿な――

晴樹

・・・? 冬馬、冬馬!

冬馬

晴樹

大丈夫?
そ、そんなにショックだった?

冬馬

な、何がだ

晴樹

30分もずっと返事しないから
心配しただろ

冬馬

30分!?
そんなに・・・?
10分も経ってないはず・・・

慌てて壊れた携帯をつける。
18時を超えていた。

学校を出たのは17時前後。
家に着くには30分。
18時を帰宅途中に回るなんて普通ならありえない。

冬馬

・・・・・・すまん、ぼーっとしていた。どうかしてた。早く帰ろう。

これで済むと思っていた。
時間感覚が少し狂っただけだと。


この感覚を繰り返すだなんて、思わなかった。
なんて、愚行を、繰り返す。

晴樹

・・・・・・ね、お願いだよ。
手伝ってもらわないとこっちだけじゃちょっとしんどいんだ

クラスメイト

手伝いたいけど、余計にこんがらがっちゃうよ。それは二度手間でしょう?それに私たち、そっちがやってる仕事わからないもの

冬馬

・・・・・・それは教えるって晴樹がさっきから言ってるだろう、何が問題なんだ

クラスメイト

だから・・・・・・二度手間になっちゃうんだってば。なんでわかってくれないの?

冬馬

そっちがそれしか言わないからだろう。
なんで二度手間になるのか、それを説明されないまま納得できるわけないのはわかるはずだ

クラスメイト

わかってよ!無理なものは無理!
もう、何度も何度も・・・しつこい!

冬馬

・・・・・・・・・・・・

最近疲れてる?
何か嫌なことあった?

冬馬

何も、放っといてくれ

できるわけないでしょ。
嫌なことは言ってしまいなさい

冬馬

何も無いって言ってるだろ!
そんなに嫌な目に遭ってほしいか?

違う、という静止を振り切り、帰ってきたばかりの家から出る。正直、何か喋るのも嫌気がさしてきた。

俺は仕方がないから繰り返しているだけだ。
仕方がないから付き合ってやってるだけだ。

そう繰り返し自分に言い聞かせては、
その繰り返しをしている自分に気付き、
錯乱しそうになる。

――もし、「繰り返しに付き合っている」というのが本当は俺ではなく、他の人間が抱くべき思いだとしたら?

俺は、繰り返していることに気付かず繰り返していたのか?俺が嫌悪したあの家族の姿こそが、俺の姿なのか?

いいやありえない、聞かない方が悪い。
俺はきちんと説明をした。

何度も、何度も。
何度も何度も何度も何度も!

――あれ。
考えが堂々巡りだ。
俺は、何を考えていたんだっけ。

いつからこうしていたのか、
壊れた携帯電話をつけて確認する。

冬馬

・・・・・・嘘、だろ?

最後にこれを開いたときから、
1分しか経っていなかった。

そして、「また」だ。
また、こうして現実の時間と俺の時間がずれる。

俺の認識と他の認識がずれる。

誰かとずれてから、時間がずれる、思考がずれる。
思考がずれて、時間がずれて・・・?

待ってくれ。俺はどこから始まった?
どこから終わった?
そもそも始まりも終わりもあるのか??

俺は、繰り返すのか?
いつからいつまで?

わからない。わからない。ワ カ  ラ ナ イ

???

考えすぎるのも考えものだ。
オマエはそこでやめておけ。
オマエ・・・・・・死ぬぞ。

#2:嵌り、足掻く――それすらも

facebook twitter
pagetop