部室に足を踏み入れると、何人かの子たちが中でおしゃべりをしていた。

 その様子は、まるで昔の私たちを見ているようで、胸の底からじわっとしたものが、のどのあたりまで押し寄せてくる。

ミユ

こんにちは

こんにちはー


 私が挨拶をすると、女の子たちが挨拶を返した。もう、まったく面識のない世代だけれど、きっと楽しくサークルを行っているんだろうということが、彼女たちの表情で分かった。




 タツキは、どこにいるんだろう。



 部室の中を見回す。


 私たちがいるころからある古びたソファー、いろいろな物が積み上げられているテーブル、そして、たくさんの音響設備や弾いてもらうのを待っている楽器たち――。


 その中で私の目に留まったのは、一つポツリと置いてあるギターだった。

ミユ

あれ……


 そのギターは、タツキが学生時代によく使っていた、誰かが部室に置き去りにしたアコースティックギターだった。

 直観でもしかして、と思いギターケースを開け、ギターを見るとギターの裏にまた同じ空色の封筒が入っていた。

ミユ

やっぱり


 簡単すぎるよ、タツキ――。


 そんなことを心の内で思いなが、私はソファーに座って、手紙を開いた。

ミユへ

さあ、二通目よく見つけました。難しかった?
ミユは覚えてるかな?俺たちがよく歌った歌。よくミユが鼻歌を歌ってて、俺はそれが好きでさ、ギターのコード覚えて一緒に部室でよく歌ったよね。楽しかったなあ。


俺、ミユの歌声が好きなんだ。力強いけど優しくて柔らかくてさ。
今は忙しくてギターは押入れで冬眠してるけれど(笑)また一緒に歌いたいな。

じゃあ、次の場所でまた会おう。
タツキ

3通目 大学の部室のギターの裏(3)

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