ひとしきり本を読み終えると
あたりは茜に染まっていた
今まで暗かった場所に
赤き太陽の光のかけらが
差し込んでいて
夜の訪れを密かに告げている。
図書館の中で
走り回っていた子供たちが
いつのまにか姿を消している
街のスピーカーから
ふるさとの音色が流れてくる
もうそんな時間か
理論に頭をめぐらせていると
あっという間に時間が過ぎる
何冊か歯抜けになった本棚に
一冊一冊本をもどしていく
今日もめがねの綺麗な女の人が
図書館から去りつつある僕を
見つめている
いつも僕が最後の一人だから
そうなるんだろう。
ぼくがここから抜け出して
数十メートル離れると
閉館の準備を始めるのが見える
それを後ろ目に見つつ
図書館を後にする