しばらく黙りこくっていた秋山君は、ゆっくりと言葉を選びながらこう答えた。

秋山 駿吾

ごめん・・・。気持ちはうれしいけど・・・

秋山 駿吾

ちょっと付き合うのは難しいかな

夏目 沙織

え・・・。どうして・・・私のこと嫌い?

秋山 駿吾

そんなことないよ・・・。だけど・・・

夏目 沙織  

だったらなんで・・・?どうして?

秋山 駿吾

夏目さんて僕と志望校が全然かぶってないじゃない

秋山 駿吾

それだったら、大学に入ってから僕よりもっとカッコいい彼氏を見つけたほうがいいと思うんだよね

お前みたいなバカな女とは付き合えない!!

あたしにはそう言っているように聞こえた・・・。

夏目 沙織

そ、そうだよね・・・。ごめんなさい、いきなり変なこと言っちゃって!

秋山 駿吾

ううん、全然。それより昨日なんだけど、部活の友達がガリガリ君の・・・

秋山君は、あたしの告白をさらりと受け流すと、部活の友達がガリガリ君のチョコ味を買ったことに話題を切り替えた。

あたしの気持ちは、ガリガリ君のチョコ味よりも興味が薄いことなんだ・・・

秋山 駿吾

・・・・。

そう思うと、涙がこぼれそうになった。
けれどあたしは必死にこらえて、ガリガリ君について楽しそうに話す秋山君の顔を見つめていた。

秋山 駿吾

あっ、いけない!もうこんな時間だ!帰って今日の復習やらなきゃね

秋山 駿吾

ごめん。僕は、お先に失礼するね!それじゃまた明日!

ひとしきり一人でしゃべった秋山君は、
そう言い残すと満足そうに去っていった。

その後、あたしはどうやって家に帰ったかまるで覚えていない。

気が付けば、部屋のベットに倒れこんでいた!

夏期講習の間じゅう、ずっと胸に秘めていた計画が
まさかこんな結末を迎えてしまうなんて・・・

夏目 沙織

もういい!もう何もかもどうでもいいっ!!

そう叫ぶとあたしは枕に顔をうずめて・・・

やがてそのまま眠りに落ちていった・・・!

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