【10】真実の扉


























剣持 朱梨

わかった



なにかが頭の中で閃いた。

剣持 朱梨

前の暗号と同じだ。これも俺たちの名前が隠されてる




俺はまず、
上からぶら下がっている「鳥」を指さした。

剣持 朱梨

まず鳥。これは鷹だな

剣持 朱梨

杏子の苗字の「小鳥遊」。これは元は小鳥を襲うような大型の鳥がいないから安心して遊べる、って意味から来てる

剣持 朱梨

その大型の鳥とは「鷹」。
「鷹無」って意味だ

小鳥遊 杏子

あっ

剣持 朱梨

同じようにオッサンの「来栖」から「リス」。
うさぎと虎次郎はそのままだな。

剣持 朱梨

剣持の「けん」は犬。
これは狼じゃなくって犬のつもりなんだろう

剣持 朱梨

サメは別名「フカ」。フカヒレのフカだ。
美登里の「深見」が当てはまる

小鳥遊 杏子

じゃあ……キリオが騎士じゃない、ってこと?

剣持 朱梨

いや。犬がもう1匹いるだろう?
これも「けん」。でも「犬」じゃなくって「剣」って意味だと思う

剣持 朱梨

キリオは剣を持ち歩いてた。
あの剣はキリオの分身だって言ってただろ?

小鳥遊 杏子

なんかこじつけっぽいなぁ……

小鳥遊 杏子

でも2匹の犬がどっちも「けん」で連想させるなら、朱梨がチワワでキリオさんが狼ってほうが合ってるかもね

剣持 朱梨

……お前な

小鳥遊 杏子

でもそれじゃどれが「騎士じゃない」の?

剣持 朱梨

「騎士じゃない」っていうことは「騎士だったけど騎士から外れた奴」って意味だ

剣持 朱梨

外れた奴。今、いない奴。
この場合は……虎だ



俺が虎に手を伸ばした時、
上のほうから

と鐘の音がした。





剣持 朱梨

うわびっくりしたあ!!

俺は手を引っ込めた。


が、


手を離した時に
他の何処かが当たったのだろう。


虎の剥製はそのままぐらりと傾き……

と倒れた。
















剣持 朱梨

うわああああっ!!
マズイ! どっか壊れた!?

剣持 朱梨

……って、あれ?







虎の口から転がり出て来たのは
金色の鍵。

剣持 朱梨

これって、

小鳥遊 杏子

キリオさんが言ってた箱の鍵?

来栖 康青

おいおい、なんの音だぁ!?




物音に
四方八方に散っていた連中が
集まってくる。




彼らは俺が手にしている
鍵を見て息を呑んだ。

深見 美登里

鍵……!

綺羅星 うさぎ

ねぇ! 戻ろう! 応接間に!!




俺たちは一斉にホールを飛び出した。












































箱はすぐに見つかった。


いかにもな金色の小箱に
期待が高まる。

綺羅星 うさぎ

早く! 早く開けて!!

剣持 朱梨

ちょっと待てよ……

剣持 朱梨

……あれ?

深見 美登里

……

剣持 朱梨

開かねぇ……



鍵穴の中で空回りしているような
むなしい音だけが響く。


来栖 康青

……どうやらこれはこの箱の鍵じゃなかったらしいねぇ

剣持 朱梨

……他の鍵なのか。てっきり箱の鍵だとばかり



俺たちが顔を見合わせる中、
うさぎが部屋を見回して声を上げた。

綺羅星 うさぎ

……ねぇ、キリオは?

来栖 康青

え?



鍵が見つかった、ということに
有頂天になっていて気がつかなかったが
言われてみれば
あの軍人の姿がない。

来栖 康青

一緒に……戻って来なかったか?

深見 美登里

そう言えば鍵が見つかった、って時にいたかしら

小鳥遊 杏子

……え……? ええっと、

深見 美登里

知らない? うさぎちゃん。
一緒にいたんでしょう?

綺羅星 うさぎ

え!? し、知らないわ。手分けしたほうがいいって、ここはまだ安全だから、って言われて……それで……

剣持 朱梨

戻ろう!

来栖 康青

嫌な予感がする……!










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